ビッグバン直後の宇宙では、水素とヘリウムが作られたとされています。このうちヘリウムが全体の質量に占める割合は、ビッグバン理論が予測する重要な数値の一つで、「ビッグバン元素合成」と呼ばれる理論の柱を支えています。
ただ、現在観測されるヘリウムの大半は、星の内部の核融合で後から作られたものも混ざっています。そのため、本当に宇宙初期に生まれたヘリウムの量を知るには、星による汚染をできるだけ避けた測定が必要です。
大型双眼望遠鏡(LBT)を使う「LBT Yp プロジェクト」のチームは、重元素が少なく、星が作ったヘリウムの影響が小さいと考えられる54個の銀河を選び、その星間ガス領域で水素とヘリウムの量を測りました。その結果、原始ヘリウムは宇宙の初期物質の質量の24.58%を占めるという値が得られました。
宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンの名残の光)の観測から、プランク衛星のデータに基づいて推定された値は24.67%で、今回の地上望遠鏡による銀河の測定結果とよく一致しています。まったく異なる手法で得られた2つの値が重なったことで、ビッグバン元素合成への裏付けが強まりました。
また、現在の宇宙にあるヘリウムのうち約90%が原始ヘリウムで、残る約10%が星の核融合で生まれたものと見積もられています。この値は、星形成の歴史や元素の生成を調べる手がかりにもなるといいます。成果は『アストロフィジカル・ジャーナル』に掲載された3本の論文にまとめられています。
出典: Phys.org(Universe Today)「Primordial helium further confirms our understanding of the Big Bang」(2026年10月12日)