宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2026年9月24日、火星衛星探査計画「MMX(Martian Moons eXploration)」の運用を担う管制室を、神奈川県の相模原キャンパスで報道陣に公開した。探査機は10月20日午前4時41分(日本時間)、鹿児島県の種子島宇宙センターから大型ロケット「H3」10号機で打ち上げられる予定で、打ち上げまで1カ月を切る中、地上側の準備も大詰めを迎えている。
MMXは、火星の2つの衛星のうち大きい方の「フォボス」に着陸して表面の砂などの試料を採取し、2031年に地球へ持ち帰ることを目指す探査計画だ。実現すれば、火星圏からのサンプルリターンは世界初となる。探査機はまずフォボスの準衛星軌道に投入され、フォボスとより小さな衛星「ダイモス」の双方を観測したうえで、フォボス表面への着陸・試料採取に挑む計画になっている。
公開された管制室は、探査機が地球を離れてから帰還するまでの長期間にわたり、姿勢制御や通信、観測データの受信などを担う拠点で、打ち上げや火星圏への軌道投入といった重要な局面では、24時間態勢で50人から100人規模のスタッフが運用にあたる見通しだという。数年単位に及ぶ長期ミッションを地上から支え続ける司令塔として、今後の運用の要となる。
MMXはJAXAが主導する国際共同ミッションで、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)に加え、フランス国立宇宙研究センター(CNES)とドイツ航空宇宙センター(DLR)が共同開発した小型ローバー「アイデフィックス(Idefix)」も搭載される。アイデフィックスは2029年ごろ、フォボス表面に着陸する探査機としては史上初の存在になるとみられている。日本の宇宙開発をめぐっては、民間企業ispaceによる月周回衛星コンステレーション構想も進むなど、官民双方で月・火星探査への取り組みが加速しており、MMXの打ち上げはその大きな節目の一つとなる。
打ち上げの予備期間は10月21日から11月7日まで設定されており、天候やロケットの状態次第では日程がずれ込む可能性もある。JAXAは今後、打ち上げ直前まで機体の最終確認を進めるとともに、正式な打ち上げ日時が固まり次第、改めて発表する方針だという。
出典: nippon.com(共同通信)「火星衛星探査計画の管制室公開 「MMX」、10月に打ち上げ」(2026年9月24日)