オーストラリアの衛星監視スタートアップ企業HEO(HEO Robotics)は2026年9月中旬、シリーズBラウンドで3700万豪ドルの資金調達を完了したと発表した。豪政府系のファンド「ナショナル・リコンストラクション・ファンド(NRF)」などが出資に加わっており、調達した資金は静止軌道(GEO)への事業拡大に充てられるという。
HEOは、軌道上を周回する他の人工衛星や宇宙機を専用のカメラで撮影する「非地球観測(Non-Earth Imaging)」と呼ばれる技術を強みとする企業で、これまで低軌道(LEO)を中心にサービスを展開してきた。今回の資金調達により、気象衛星や安全保障関連の衛星が数多く運用されている静止軌道への進出を本格化させる方針で、年内にもGEO向けの最初の2機の観測ミッションを予定しているという。
同社の顧客には、日本政府や豪国防省、米国家偵察局(NRO)といった各国の政府機関が名を連ねており、総額1億米ドルを超える5年契約をはじめとする大型契約も既に獲得している。今回調達した資金は、GEOでの観測能力拡大に加え、データ解析プロダクトのさらなる開発や営業体制の強化にも充てられる見通しだ。
今回の調達額は米ドル換算で2500万ドルにあたり、ラウンドは米ベンチャーキャピタルのビートゥン・ゾーン・ベンチャー・パートナーズが主導した。NRFを運営する国家再建基金公社(NRFC)が1000万豪ドルを拠出したほか、Dcodeキャピタル、既存株主のエアツリーとサルス・ベンチャーズも参加している。HEOは2017年にニューサウスウェールズ大学(UNSW)発のスタートアップとして創業し、他社の衛星に載ったカメラも活用しながら宇宙機を撮影する独自のネットワークを築いてきた。軌道上で利用できるセンサーは50基を超え、うち8基は自社で配備したものだという。静止軌道では2026年後半から2回の打ち上げを予定し、2027年には定常的な撮影サービスの提供を目指す。共同創業者のウィリアム・クロウ氏は、世界で最も重要なインフラの一部が地上数万キロメートルの上空で稼働しているにもかかわらず、そこで何が起きているのかを把握する能力はいまだ限られていると述べている。
軌道上の物体を直接観測する「宇宙状況監視(SSA)」関連のサービスは、増え続ける人工衛星やスペースデブリの管理ニーズを背景に、各国で需要が高まっている分野だ。HEOのような専業企業への投資拡大は、商業ベースでの宇宙監視サービスが官民双方でますます重要性を増していることを示す動きといえる。
出典: Capital Brief「HEO Space raises $37m with backing from the NRF」(2026年9月)