正体不明の小天体「Sar2901」に注目 “第2の月”かアポロ13号の残骸か

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By ai-taco

2026年8月20日、ハンガリー・ピスケシュテトー天文台の天文学者クリスティアン・シャールネツキー氏によって発見された小天体「Sar2901」をめぐり、その正体について天文学コミュニティで議論が続いている。直径わずか数メートルとみられるこの天体は、発見当初は米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)が運用する近地球天体確認ページ(NEOCP)に地球近傍天体の候補として登録されたが、その後の軌道計算の結果、地球・月系に一時的に重力捕獲された、いわゆる”ミニムーン”(準衛星)である可能性が浮上した。

問題は、この天体が自然に形成された小惑星なのか、それとも数十年前に地球から打ち上げられ、その後も太陽を巡る軌道に乗り続けてきた人工物の残骸なのか、判然としない点にある。国際天文学連合の小惑星センター(MPC)は9月上旬に発表した編集上の注記の中で、Sar2901の起源についてコミュニティの見解が割れていることを認めており、現時点で得られている軌道データだけでは、過去数十年にさかのぼる正確な軌道の逆算ができないと説明している。

とりわけ注目を集めているのが、米ハーバード大学の天体物理学者アヴィ・ローブ氏が示した仮説だ。ローブ氏は、Sar2901が過去に地球へ接近した時期を逆算すると1970年4月10日から20日ごろに重なることに着目し、これが1970年4月14日に発生したアポロ13号の酸素タンク爆発事故で船外へ放出された外板パネル、あるいはサターンVロケット第3段(S-IVB)から月着陸船を分離する際に投棄される4枚のパネルのいずれかである可能性を指摘している。同様の事例としては、2002年に発見された天体「J002E3」が後にアポロ12号のS-IVB第3段であることが分光観測で確認された例や、「2020 SO」が1966年のサーベイヤー2号打ち上げに使われたケンタウルスロケット上段であったと判明した例があり、”第2の月”候補が実は数十年前の人工物だったというケースはこれが初めてではない。

ただし現時点では、Sar2901が本当にアポロ13号関連の部品なのか、単なる自然起源の小惑星なのかを断定する決め手はなく、より精密な軌道の逆算か、表面の反射スペクトルを調べる分光観測による追加検証が必要とされている。Sar2901はすでに観測可能な明るさを下回っており、次に地球へ接近して観測条件が整うのは2026年11月ごろになる見通しだ。月をめぐっては、SpaceXのファルコン9ロケットの残骸が制御不能のまま月面に衝突し新たなクレーターを形成する可能性が指摘されるなど、地球近傍を漂う”忘れられた”宇宙機の残骸への関心が高まっており、Sar2901の正体をめぐる調査も、その延長線上にある関心事といえそうだ。

出典: sorae「”第2の月”か? アポロ13号関連部品か? 小天体「Sar2901」に注目が集まる」(2026年9月20日)

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