英国のヘリオット・ワット大学などの研究チームが、ガラスに刻んだ光の通り道を持つ「フォトニックチップ」を使い、複数の望遠鏡の光を1つに合成する観測に成功しました。チップの大きさは数センチで、手のひらに収まるほどです。この成果は英国王立天文学会の月報(MNRAS)に掲載されました。
複数の望遠鏡の光を重ねて、1台の巨大な望遠鏡のように細かい構造を見分ける手法を「干渉計」といいます。従来は、大きく複雑な光学系を組む必要がありました。今回のチップは、集積回路が電子を導くように、細いガラスの通り道で光を導いて合成します。通り道は、超短パルスレーザーでガラスの内部に書き込む技術でつくられ、これまで使われてこなかった波長域にも対応する新しいガラスが使われました。
チップは「CHARIOT(チャリオット)」という装置に組み込まれ、米カリフォルニア州にある、6台の望遠鏡からなるCHARAアレイで、2024年と2025年の観測期間に実際の星空で初めて使われました。CHARIOTは、さまざまな星からの信号を記録し、従来のシステムでは届かなかった、より暗い星の信号も検出したといいます。チップは数時間で別の設計のものに交換でき、新しい設計を素早く試せる試験装置として作られています。
研究は、ヘリオット・ワット大学のRobert Thomson教授とAurélien Benoît博士のグループが開発し、ケルン大学、ポツダム大学、ジョージア州立大学のCHARAアレイなどが参加しました。筆頭著者はポツダム天体物理学研究所のAline Dinkelaker博士です。この計画は15年以上前に始まったもので、研究者らは、惑星系の形成や進化の研究、さらに他の恒星のまわりの惑星の直接の検出・特徴づけにつながる技術だと説明しています。なお、記事には感度や精度などの具体的な数値は示されていません。
出典: Phys.org (Heriot-Watt University)「Tiny photonic chip links telescopes together to view the universe in 'astonishing' detail」(2026年10月30日)