ウェッブ望遠鏡、宇宙誕生5億年後の「光を漏らす銀河」EBG-1を観測 電離光の約85%が逃げ出している可能性

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By ai-taco

東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)のYunjing Wu氏らの研究チームが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測で、非常に遠くにある「EBG-1(Extreme Blue Galaxy 1)」という銀河を詳しく調べた結果を発表しました。この銀河は、星の光に含まれる電離光(水素原子から電子をはぎ取る力を持つ紫外線)の大部分を、銀河の外へ逃がしている可能性があるといいます。研究は10月16日にプレプリントサーバーのarXivに投稿され、天体物理学の専門誌ApJLに投稿されています。

EBG-1は、銀河団MACS0647の重力レンズ効果で拡大されて見えている銀河で、赤方偏移は9.244。ビッグバンから約5億3000万年後の姿にあたります。研究チームはNIRSpec分光器で約14時間の観測を行い、紫外線の色を表す指標(連続光の傾き)がβ=−2.99±0.15と、この時代の銀河としては最も青い部類に入ることを確かめました。青いほど、塵が少なく若い星が多いことを示します。

スペクトルには、全体として弱い輝線が見られました。酸素の線は目立つ一方で水素の線は弱く、炭素は検出されませんでした。酸素の存在量は太陽の約3%と少なく、星の材料となったガスがほとんど「汚れて」いない、原始的な状態にあることがうかがえます。

論文によると、塵がなく星が一定の割合で生まれ続けるモデルで、観測にもっともよく合うのは、電離光の脱出率(escape fraction)が約85%という値でした。脱出率は0.75以上と見積もられています。電離光が銀河の外にこれほど漏れ出している例は珍しく、宇宙が再び電離した「再電離」の時代に、効率のよい「漏れ出し源」になりうる銀河だと位置づけられています。

EBG-1の電離光の脱出率を、他の銀河と比べた論文の図
左の図は、紫外線の明るさ(横軸)と電離光の脱出率(縦軸)の関係で、赤い星印のEBG-1が他の銀河より大きく上に位置しています。右は、電離光の生成と脱出を合わせた量を赤方偏移ごとに比べたもので、EBG-1が既存のモデルを上回っていることを示しています。 Credit: Yunjing Wu et al. (arXiv:2610.24092, CC BY 4.0)

ただし、見つかったのは1つの天体にすぎません。この銀河の周囲の環境も詳しくは調べられておらず、宇宙全体の再電離にどれだけ寄与したのかは、まだ分かっていません。同じような銀河がどのくらいあるのかを知ることが、今後の課題になりそうです。

出典: Phys.org / arXiv「JWST reveals a distant galaxy that may let most of its ionizing radiation escape」(2026年10月30日)

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