ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えた、暗くて赤い天体「カポタウロ(Capotauro)」について、宇宙最初期の銀河ではなく、天の川銀河内にある冷たい「Y型褐色矮星」だとする分析が発表されました。褐色矮星は、恒星になれるほど質量が大きくなかった「なりそこない」の天体です。Phys.orgが11月3日に伝えました。
この天体は当初、赤方偏移が約32、つまり宇宙誕生から約1億年後の姿を見ている可能性がある候補として注目されていました。2026年2月に天文学・天体物理学誌に出た最初の研究は、褐色矮星の可能性も検討したうえで、遠方銀河という解釈を支持していました。
今回、エディンバラ大学のF.-Y. F. Liuさんらのチームは、2022年12月のCEERS観測の画像と、2026年6月にNIRCamで撮った画像を比べました。約3年半の間隔で、68個の基準天体を使って画像を重ね合わせ、疑似天体を背景に埋め込んでノイズによる誤差も確かめています。その結果、カポタウロは約0.13秒角動いており、有意性は6シグマ(偶然とは考えにくい水準)を超えました。遠方の銀河ならこの間ほとんど動かないため、天の川銀河の中の近い天体だと考えられます。
赤外線での明るさのパターンを既知の褐色矮星と比べると、表面温度は約350K(約77℃)、距離は約2400光年と見積もられます。ただし、比較できる天体が最も冷たい領域をカバーしていないため、実際はもっと冷たく、暗く、近い可能性もあるといいます。今後、時期を選んだ観測で視差(見る位置の違いによる見かけのずれ)を測れば、距離をより確かにできるとされています。論文は王立天文学会月報(MNRAS)に掲載されました。
出典: Phys.org「A tiny shift exposes a cold brown dwarf masquerading as an early galaxy」(2026年11月3日)