アルマ望遠鏡(ALMA)の新しい観測で、太陽の何十倍も重い「大質量星」が生まれる最初期の姿かもしれない、きわめてコンパクトな塊が見つかりました。研究チームはこの塊を「ドラゴンの卵(dragon egg)」と呼んでいます。研究はA. T. バーンズ氏らによるもので、天文学誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載が受理されています。
舞台は、地球から約1万6300光年離れた「ドラゴン雲」と呼ばれる赤外線で暗く見える暗黒星雲です。この雲の中でも、塊「C2c1a」の中心にある核が注目されました。波長1.3ミリの電波(ALMAのバンド6)で、これまでにない高い解像度で観測した結果、核は半径が約87天文単位(太陽から地球までの距離の約87倍)ほどしかないことがわかりました。

核の質量は、太陽の2〜30倍程度と推定されています(紹介記事では、以前の研究にもとづき20〜30倍とも説明されています)。幅があるのは、塊の温度が正確にわからないためで、冷たくて質量の大きい核なのか、温かく質量の小さい天体なのかを、現時点では決めきれないといいます。周囲には、星の材料となる冷たいガスとちりが、少なくとも太陽の約110倍ぶん広がっています。
重要なのは、この核が「まだ若い」ことを示す手がかりが多い点です。核の中心では光るガスがほとんど見られず、星が生まれるときに噴き出すガスの流れ(アウトフロー)もはっきりとは確認できませんでした。親となる塊の質量は太陽の約1,061倍で、明るさと質量の比も小さく、論文はこれを大質量星形成の「ごく初期」の特徴だと見ています。
大質量星は数が少なく、生まれるのも短時間で、観測がむずかしい天体です。そのため、こうした初期段階の候補を高解像度でとらえた今回の結果は、大きな星がどのように質量を集めるのかを探る手がかりになりそうです。
出典: arXiv / Phys.org「Cracking open the "dragon egg": ALMA 1.3mm observations of a compact, young high-mass core candidate at 30mas resolution (Phys.org: ALMA spots 'dragon egg' that may represent the earliest stages of massive star formation)」(2026年10月5日(Phys.orgでの紹介は10月23日))