
The Hacker Newsなどの報道によると、フランスの小売チェーン数社が、10月11日の夜に数百店舗の冷蔵庫・冷凍庫が何者かに遠隔操作され、庫内が温められたと明らかにしました。見出しでは最大50℃まで加熱されたと伝えられており、傷んだ食品の廃棄を余儀なくされた店舗が出ています。
攻撃の入り口となったのは、店内のすべての冷蔵・冷凍設備をまとめて管理する「コントローラー」と呼ばれる機器で、デンマークのDanfoss(ダンフォス)製とされています。コントローラーは、各ケースの温度を監視・調整する司令塔のような装置です。ここをネット経由で乗っ取られると、パソコンのデータを盗まれるのとは違い、現実の設備そのものを壊したり、商品をダメにしたりできてしまいます。
こうした産業用機器は、一度設置すると長く使われ、更新が後回しになりがちです。また、保守のために外部から接続できる状態になっていると、セキュリティホールや弱い認証を突かれたときの被害が大きくなります。なお、攻撃の具体的な経路や、使われた欠陥の詳細は、現時点で報じられている範囲では明確ではありません。
日本でも、同種の制御機器を店舗や倉庫で使っている事業者は少なくありません。店舗や工場の設備担当者は、制御機器がインターネットから直接到達できる状態になっていないか、管理画面のパスワードが初期設定のままになっていないか、メーカーの最新のセキュリティ情報が出ていないかを確認することが重要です。一般の消費者にできる対策は限られますが、今回の件は「サイバー攻撃が食の安全にまで及ぶ」ことを示す事例として注目されます。