
イベルメクチンとフェンベンダゾールでがんを多方面から攻撃?複合療法と予防効果の根拠を検証
イベルメクチンやフェンベンダゾールなどの駆虫薬には、複数の作用を通じてがん細胞を攻撃する可能性があり、組み合わせて使えば抗がん効果が高まる――。
インターネット上では、このような主張が広がっています。
今回の発言者は、一般的ながん化学療法でも複数の薬を組み合わせることが多い点を挙げ、イベルメクチンとベンズイミダゾール系駆虫薬にも、同様の「多方面からがんを攻撃する効果」が期待できると説明しています。
さらに、がんになってから使用するだけでなく、発症前から服用することで予防できる可能性や、ウコンに含まれるクルクミンの予防効果にも言及しています。
しかし、こうした主張の多くは、細胞実験や動物実験から得られた仮説です。人間のがん患者における有効性や安全性が確立されたわけではありません。
発言者が主張している内容
発言者の考えは、大きく3つに分けられます。
1つ目は、イベルメクチンが複数の分子経路を通じて、がん細胞の増殖や生存を妨げる可能性があるという主張です。
2つ目は、イベルメクチンとフェンベンダゾールなどを組み合わせることで、少なくとも6つほどの異なる仕組みからがん細胞を攻撃できるという考えです。
3つ目は、こうした薬やクルクミンなどの天然成分を、がんになる前から使用すれば予防につながる可能性があるという主張です。
発言者は、がん細胞と免疫系は常に攻防を続けており、薬によってがん細胞を十分に弱らせれば、免疫系が残ったがん細胞を排除できるのではないかと説明しています。
がん治療で複数の薬を使う理由
実際のがん治療では、複数の抗がん剤を組み合わせる「併用療法」が広く行われています。
がん細胞はすべてが同じ性質を持つわけではありません。一つの腫瘍の中にも、増殖速度や薬への反応が異なる複数の細胞集団が存在します。
一つの薬だけを使用すると、その薬に弱い細胞は減少しても、耐性を持つ細胞が残る可能性があります。
そのため、異なる作用機序を持つ薬を組み合わせ、細胞分裂、DNA複製、細胞内シグナル、血管新生、免疫回避などを複数の方向から妨げる治療が行われます。
ただし、複数の作用を持つ薬を組み合わせれば必ず効果が高まるわけではありません。
薬同士が作用を打ち消したり、肝臓や腎臓への負担が増えたり、重い副作用が発生したりすることもあります。そのため、併用療法は臨床試験によって投与量や組み合わせ、安全性を確認したうえで採用されます。
イベルメクチンには抗がん作用があるのか
イベルメクチンは、寄生虫感染症の治療に使用される医薬品です。
研究室レベルでは、イベルメクチンががん細胞に影響する可能性が多数報告されています。
例えば、がん細胞の増殖に関係するシグナル伝達の阻害、細胞周期の停止、アポトーシスと呼ばれる細胞死の誘導、がん幹細胞の抑制、血管新生や転移の抑制などです。
一部の動物実験では、腫瘍内への免疫細胞の侵入を促し、免疫療法の効果を高める可能性も示されています。
こうした結果から、イベルメクチンを既存のがん治療に応用する「ドラッグリポジショニング」の研究が進められています。
実際、トリプルネガティブ乳がん患者を対象に、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブとイベルメクチンを組み合わせる臨床試験も登録されています。
しかし、臨床試験が存在することは、その治療法が有効だと証明されたことを意味しません。
現在までの研究の多くは、培養細胞や動物を対象とした前臨床研究です。2025年に公表されたレビューでも、実験段階では有望な結果がある一方、人間のがん治療に応用するための十分な臨床的証拠が不足していると指摘されています。
フェンベンダゾールとの組み合わせは有効なのか
発言中の「benazole」が何を指すのかは明確ではありませんが、前後の内容からは、フェンベンダゾールまたはメベンダゾールなどのベンズイミダゾール系駆虫薬を指していると考えられます。
これらの薬は、寄生虫の微小管形成やエネルギー代謝を妨げます。
がん細胞も細胞分裂の際に微小管を必要とするため、ベンズイミダゾール系薬剤ががん細胞の分裂を妨げる可能性について研究されています。
ただし、
「イベルメクチンとフェンベンダゾールを組み合わせると、6つ以上の作用でがん細胞を攻撃できる」
という説明は、臨床的に確立された治療原理ではありません。
細胞実験で複数の分子経路に変化が見られても、それが人間の体内で治療効果につながるとは限りません。
実験で使用される薬物濃度が、人間が安全に服用できる濃度より高い場合もあります。また、それぞれの薬が単独で一定の作用を示しても、組み合わせたときの有効性や毒性は別に検証する必要があります。
「がん細胞を弱らせれば免疫が排除する」は正しいのか
がんと免疫系が攻防を続けているという説明には、一定の科学的根拠があります。
免疫系は、異常な細胞を認識して排除する能力を持っています。しかし、がん細胞は免疫細胞から見つかりにくくなったり、免疫反応を抑制する物質を放出したりして、攻撃を逃れることがあります。
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞によって抑え込まれていた免疫機能を回復させる治療です。
したがって、薬によってがん細胞を損傷させ、免疫系が認識しやすい状態にするという考え方自体は、現在のがん免疫学とも矛盾しません。
しかし、イベルメクチンやフェンベンダゾールを服用すれば、免疫系ががんを排除できるという臨床的証拠はありません。
免疫系とがんの関係は複雑であり、薬でがん細胞に刺激を与えるだけで治癒につながるとは限りません。
発症前に服用すれば、がんを予防できるのか
発言者は、がんが見つかる前からイベルメクチンやベンズイミダゾール系薬剤を服用する「予防的使用」の可能性にも触れています。
しかし、これらの駆虫薬を健康な人が継続的に服用することで、がんの発生率が低下することを示した信頼性の高い臨床研究はありません。
有効性が不明な一方、薬には副作用や相互作用の可能性があります。
イベルメクチンでは、吐き気、めまい、皮疹、肝機能障害などが起こることがあります。大量服用では、意識障害、運動失調、けいれんなどの神経症状が生じる危険もあります。
フェンベンダゾールも、人間のがん予防薬として承認されたものではありません。健康な人が自己判断で長期服用する場合の安全性や適切な用量は確立されていません。
したがって、がん予防を目的としてこれらの薬を日常的に服用することは推奨できません。
クルクミンはがんを予防するのか
クルクミンは、ウコンに含まれる黄色い色素成分です。
抗酸化作用や抗炎症作用があり、細胞実験では、がん細胞の増殖や血管新生、転移に関係する複数の分子経路に影響することが報告されています。
大腸がん、口腔がん、肝臓がんなどの予防や治療を目的とした初期段階の臨床試験も行われています。
米国国立がん研究所は、クルクミンを用いた初期のがん予防試験について、有望に見える結果もあるとしています。しかし、参加者数の多い適切な臨床試験で、安全性や実際の発症率への効果を確認する必要があると説明しています。
現時点では、クルクミン製品ががんを予防または治療できると判断するには、証拠が不足しています。
また、ウコンを料理に使用することと、高濃度のクルクミンサプリメントを服用することは同じではありません。
サプリメントには食品よりはるかに多い量が含まれることがあり、抗凝固薬や抗血小板薬など、ほかの薬の作用に影響する可能性があります。
インドなどで一部のがんが少ないのはウコンのおかげか
発言者は、ウコンを多く使用するインドやアジアの地域では、特定のがんが少ないと述べています。
国や地域によって、特定のがんの発生率が異なることは事実です。
しかし、その違いをウコンだけで説明することはできません。
がんの発生率には、年齢構成、喫煙率、飲酒習慣、感染症、食生活、肥満率、遺伝的背景、検診制度、医療へのアクセス、統計の収集方法など、多数の要因が影響します。
例えば、ある国で大腸がんが少なく見えても、平均年齢が若い、検診を受ける人が少ない、診断や統計登録が十分でないといった理由も考えられます。
ウコンの摂取量とがんの少なさに関連が見られたとしても、それだけでクルクミンが原因だとは証明できません。
研究室ではウコンやクルクミンに有望な作用が示されていますが、それが人間に同じように作用するかどうかは、大規模な臨床試験で確認する必要があります。
天然成分なら安全とは限らない
発言者は、薬用ハーブや料理に使用される植物には、がんを予防するものが多数存在する可能性があると述べています。
植物から有効な医薬品が開発されることはあります。実際、いくつかの抗がん剤は植物由来の成分を基に作られています。
しかし、植物由来であることと、安全で有効であることは同じではありません。
天然成分にも副作用やアレルギー、肝障害、薬物相互作用があります。また、サプリメントは製品によって成分量や品質が異なることがあります。
特にがん治療中は、サプリメントが抗がん剤の分解や吸収に影響し、効果を弱めたり副作用を強めたりする可能性があります。
使用を検討する場合は、必ず主治医や薬剤師に製品名と摂取量を伝える必要があります。
まとめ
今回の発言は、イベルメクチンとフェンベンダゾールなどを組み合わせれば、複数の作用機序によってがん細胞を弱らせ、最終的に免疫系が排除できるのではないかという仮説を紹介したものです。
イベルメクチンやベンズイミダゾール系駆虫薬には、細胞実験や動物実験で複数の抗がん作用が報告されています。既存薬をがん治療に転用する研究として、検討する価値はあります。
しかし、作用する可能性があることと、人間のがん患者を治療できることは別問題です。
イベルメクチンとフェンベンダゾールの併用療法は、がんの標準治療として確立されていません。発症前に服用すればがんを予防できるという証拠もありません。
クルクミンについても、実験研究や小規模な初期試験では有望な結果がありますが、人間のがんを確実に予防または治療できるとは証明されていません。
現時点での適切な結論は、
「イベルメクチン、ベンズイミダゾール系薬剤、クルクミンには研究対象となる抗がん作用があるものの、がん治療や予防への有効性を判断するには十分な臨床的証拠がない」
というものです。
未承認の駆虫薬や高濃度サプリメントを自己判断で使用し、手術、放射線治療、抗がん剤、分子標的薬、免疫療法などの標準治療を中断することは、治療の機会を失う危険があります。
参考
文字起こし英文
Ivermectin is working through a whole series of other mechanisms, but you know, remember when people have cancer and anybody listen to?
This knows about this.
The cancer chemotherapy is typical multiple different drugs because you have to hit cancer in many ways with Ivermectin and benazole.
There’s probably at least six different ways cancer cells are hit, and when you have that much medicinal Force against the cancer cell, chances are, the cancer cell will give up or the body’s immune system will step in and start to clear it out.
Remember, cancer is always at war with our own immune system.
All right, so here’s the million dollar question people discover they have a cancer situation, like one in three I’m looking at here does.
Is there a preemptive benefit to this in order to protect you from getting it, or any you know it’s possible that wasn’t studied.
There are many medicinal and culinary herbs we have about.
Natural products Probably are preventive.
For instance, when you’re talking, a good one is curcumin derived from turmeric.
The data are amazing, you know.
Do you know the Indian Asian societies that use a lot of this?
They have statistically lower rates of certain cancer.
Come on.
Yeah.
直訳
イベルメクチンは他にも様々なメカニズムで作用しますが、癌になった時に、誰が耳を傾けてくれるでしょうか?
この薬について知っている人はいますか?
癌の化学療法は通常、複数の異なる薬剤を併用します。イベルメクチンとベナゾールで様々な角度から癌細胞を攻撃する必要があるからです。
癌細胞を攻撃する方法は少なくとも6種類以上あり、癌細胞に対してこれほど強力な薬効があれば、癌細胞は諦めるか、体の免疫システムが介入して癌細胞を排除し始める可能性が高いのです。
癌は常に私たちの免疫システムと戦っていることを忘れてはいけません。
さて、ここで多くの人が抱える疑問があります。私がここで見ている3人に1人は癌を患っています。
癌の発症を予防するための予防効果はあるのでしょうか?あるいは、まだ研究されていない可能性のある効果はあるのでしょうか?
私たちの身近には、薬用や料理に使われるハーブがたくさんあります。
天然物には予防効果がある可能性が高いですね。
例えば、あなたが言っているように、ウコン由来のクルクミンは良い例です。
データを見ると、本当に驚くべきことが分かりますよ。
インドやアジアの社会で、こうした天然物を多く利用しているところをご存知ですか?
彼らは特定の癌の発症率が統計的に低いんです。
ほらね。
ええ。