ウェッブ望遠鏡が見た初期宇宙の「若い巨大星団」、巨大ブラックホールの「種」の生まれ場所か ローマ・サピエンツァ大

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By ai-taco

現在の宇宙で銀河の中心にある超大質量ブラックホールは、より小さな「種」となるブラックホールが、長い時間をかけて成長したものだと考えられています。ところが、種の候補として一般的な、太陽の約8〜50倍の質量の星が残すブラックホールでは、初期宇宙で見つかっている巨大なブラックホールを説明しにくいという問題があります。そこで注目されているのが、太陽の約100〜10万倍の質量をもつ「中間質量ブラックホール」です。

イタリアのローマ・サピエンツァ大学のViola Bocchi氏らは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が初期宇宙で見つけた「若い巨大星団」に注目しました。対象は、宇宙誕生から約4億6000万年後の姿が見える「コズミック・ジェムズ・アーク」の5つの星団と、約6億年後の「ファイアフライ・スパークル」の10の星団です。これらの星団は、質量が太陽の10万〜1000万倍、星の半数が収まる半径(半質量半径)が約0.4〜15パーセクと、非常に密集しています。

ウェッブ望遠鏡が撮影した銀河団と、重力レンズで引き伸ばされたコズミック・ジェムズ・アーク
右は手前の銀河団SPT-CL J0615−5746の領域で、左はその重力レンズで細長く引き伸ばされた「コズミック・ジェムズ・アーク」の拡大です。弧の中に点々と光っているのが、今回の研究で中間質量ブラックホールの生まれ場所の候補とされた若い巨大星団です(2024年の発表時の画像)。 Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, L. Bradley (STScI), A. Adamo (Stockholm University) and the Cosmic Spring collaboration

研究チームは、密集した星団の中で星どうしが次々に衝突・合体して巨大な星ができる「暴走的衝突」と、恒星風による質量の流出を組み込んだ解析的なモデルを作り、直接的な多体計算(N体シミュレーション)と照らし合わせて検証しました。その結果、生まれうる中間質量ブラックホールの典型的な質量は太陽の約100〜4000倍で、形成の効率は数%程度と見積もられました。コズミック・ジェムズの星団では太陽の1600〜2700倍、ファイアフライ・スパークルの星団では約180〜810倍になるといいます。

研究チームは、こうした星団が、JWSTが初期宇宙で多数見つけている赤くて小さな天体「リトル・レッド・ドット」にある超大質量ブラックホールの種になっている可能性も示しています。ただし、今回の研究でブラックホールそのものが観測されたわけではありません。星団の回転や内部構造は分かっておらず、重い星の割合が多い可能性なども詳しくは検討されていないため、今後の検証が必要です。JWSTが見た初期宇宙の天体の正体をめぐっては、「最初期の銀河」候補が実は褐色矮星だった例もあり、観測と理論の突き合わせが続いています。

出典: Phys.org(Universe Today)「JWST may have found where heavy black hole seeds formed」(2026年11月3日)

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