
mRNAワクチンで「ターボ癌」が増えた?腫瘍学者アンガス・ダルグレイシュ教授の主張と現在の医学的エビデンス
新型コロナウイルスのmRNAワクチンと「がん」の関係をめぐって、英国の腫瘍学者アンガス・ダルグレイシュ(Angus Dalgleish)教授の発言が再び注目されています。
SNSでは、
「ファウチとゲイツが世界にCANCERを注入した」
「mRNA注射によって“ターボ癌”が爆発的に増えている」
「長年安定していたがん患者が、ワクチン接種後に突然再発している」
といった非常に強い表現とともに紹介されています。
では、ダルグレイシュ教授は実際にそのような主張をしているのでしょうか。
そして、「mRNAワクチンががんを引き起こす」という因果関係は医学的に証明されているのでしょうか。
結論から言うと、
ダルグレイシュ教授がmRNA COVID-19ワクチンとがん再発・進行との関連を強く主張していること自体は事実です。
しかし、
現在までにCOVID-19 mRNAワクチンががんを引き起こす、あるいは「ターボ癌」を発生させるという因果関係が確立されたわけではありません。
ここを分けて理解する必要があります。
アンガス・ダルグレイシュ教授とは?
アンガス・ダルグレイシュ教授は英国の腫瘍学者・免疫学者です。
2026年6月3日には、米上院国土安全保障・政府問題委員会の常設調査小委員会で開催された、
「Plausible Mechanisms of COVID-19 Injections Causing Cancer」
(COVID-19注射ががんを引き起こす可能性のあるメカニズム)
と題された公聴会に証人として出席しました。
米上院の公式記録でも、ダルグレイシュ氏は「Professor Emeritus of Oncology」として証言者に掲載されています。
したがって今回の話は、単なる匿名SNS投稿が発端というわけではありません。
実際の腫瘍学者が、公の場で問題提起を行っています。
ダルグレイシュ教授は何を主張しているのか
2026年6月に米上院へ提出した証言書の中で、ダルグレイシュ教授は、
2021年後半から、
- 長期間安定していたがん患者の突然の再発
- 通常より攻撃的に見えるがん
- これまでとは異なる進行パターン
を目にするようになったと述べています。
そして、
「これらの再発がCOVID-19ワクチンの追加接種後に起きるパターンに気づいた」
と主張しています。
つまり、今回SNSで拡散している主張の核心部分は、本人の証言と大きく離れているわけではありません。
ただし重要なのは、
「診療現場でそのような患者を見た」という臨床上の観察と、「ワクチンが原因であることが証明された」という疫学的な結論は別
ということです。
「ターボ癌」とは何なのか
SNSでは頻繁に、
Turbo Cancer(ターボ癌)
という言葉が使われています。
これは一般的に、
- 通常より急速に成長するがん
- 突然ステージ4で発見されるがん
- 長期寛解後に急激に再発するがん
などを指す言葉として使用されています。
しかし、「ターボ癌」は正式な医学用語ではありません。
WHOの疾患分類や一般的な腫瘍学の診断分類で、
「Turbo Cancer」
という独立した疾患が定義されているわけではありません。
そのため、
「ターボ癌が増えている」
という主張を検証するには、
実際には、
- がん発症率
- 年齢調整発症率
- ステージ別診断率
- 再発率
- がん死亡率
などの疫学データを見る必要があります。
「ワクチン後に急激ながんが出た」という症例報告は存在する
一方で、この問題を完全に「根拠のない話」と片付けることも適切ではありません。
2025年までの研究を整理した2026年のレビューでは、
COVID-19感染またはワクチン接種後にがんが発生・再発したとする69件の論文が検討されました。
その中には、
- リンパ腫
- 白血病
- 乳がん
- 肺がん
- メラノーマ
- 膵臓がん
- 膠芽腫
などが含まれていました。
報告の中には、
「通常より速い進行」
「休眠状態だった腫瘍の再発」
といったパターンも含まれていました。
ただし、このレビュー自身が強調しているように、
多くは症例報告であり、因果関係を証明するものではありません。
症例報告は、
「このような出来事があった」
ことを示すことはできます。
しかし、
「ワクチンが原因だった」
と証明することはできません。
なぜ「接種後に起きた」だけでは因果関係を証明できないのか
例えば70歳の人がワクチンを接種し、その3か月後に肺がんが見つかったとします。
この場合、
「ワクチン接種後に肺がんが見つかった」
という時間的関係は事実です。
しかし肺がんは通常、数か月ではなく何年もの時間をかけて形成されます。
したがって、
時間的に後から起きたことと、その出来事が原因だったことは同じではありません。
特にCOVID-19ワクチンは世界中で何十億回も接種されたため、
接種後に、
- がん
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 認知症
- その他さまざまな病気
が偶然発生する人も当然多数存在します。
因果関係を確認するには、
「接種者の方が非接種者より明らかにがん発症率が高い」
といった疫学的データが必要になります。
米上院公聴会では反対の見解も提示された
2026年6月3日の公聴会で証言したのは、ダルグレイシュ教授だけではありません。
American Society of Clinical Oncology(ASCO)のChief Medical OfficerであるJulie Gralow医師も証言しました。
Gralow医師は提出資料で、
「現在、mRNA COVID-19ワクチンががんを引き起こすことを証明する臨床的エビデンスは存在しない」
と明確に述べています。
つまり同じ公聴会の中でも、
「ワクチンとがんとの関連について重大な懸念がある」
というダルグレイシュ教授と、
「現在の臨床データでは因果関係は証明されていない」
というASCO側の見解が対立しています。
ここは非常に重要なポイントです。
NCIも「がんを引き起こす証拠はない」としている
米国立がん研究所(NCI)も現在、
「COVID-19ワクチンはがんを引き起こすのか?」
という質問に対して、
COVID-19ワクチンががんを引き起こしたり、再発させたり、進行を早めたりする証拠はない
としています。
ただしNCIは、ワクチン接種後にリンパ節が腫れることがあるため、画像検査では注意が必要だとも説明しています。
つまり接種後にリンパ節がPETやCTで目立つことがありますが、
それ自体は、
「がんが急速に進行した」
ことを意味するわけではありません。
「mRNAワクチンは遺伝子治療」という主張は正しい?
SNS投稿では、
「mRNAワクチンは実験的な遺伝子治療だ」
という主張もよく見られます。
しかし、これは少なくとも現在の規制上の分類とは異なります。
欧州医薬品庁(EMA)は、
感染症を予防するmRNAワクチンは遺伝子治療とは分類されない
と明確に説明しています。
その理由は、遺伝子治療が通常、
- 遺伝子を修正する
- 遺伝子を置き換える
- 遺伝子発現を恒久的に操作する
ことを目的としているのに対し、
mRNAワクチンは細胞に一時的にタンパク質を作らせる仕組みだからです。
FDAの定義でも、遺伝子治療は遺伝子そのものを修正・操作する治療として説明されています。
したがって、
「mRNAは遺伝情報を含むから、すべて遺伝子治療である」
という整理は医学的・規制的には正確ではありません。
mRNAはDNAに組み込まれるのか?
もう一つ頻繁に出てくる主張が、
「mRNAが人間のDNAに組み込まれる」
というものです。
EMAは、
mRNAは細胞核に入らず、DNAへ直接組み込まれる構造でもないと説明しています。
米国National Human Genome Research Instituteも、
mRNAワクチンがDNAを変化させることはない
としています。
FDAもComirnatyについて、
mRNAは人体内に短期間存在するだけで、
人の遺伝物質へ組み込まれたり、遺伝情報を変更したりしない
と説明しています。
「DNA混入」という議論はどうなのか
最近もう一つ議論されているのが、
mRNAワクチン製造過程で使われるプラスミドDNAの残留物です。
mRNAを製造するときにはDNAテンプレートが利用されるため、最終製品に極微量の残留DNAが存在する可能性があります。
この点自体は秘密ではありません。
しかしEMAは、EUで流通したmRNAワクチンについて複数の検証法を使った研究を紹介し、
残留DNAは承認された基準値を下回っていた
と説明しています。
したがって、
「DNAが検出された」
ことと、
「そのDNAが人間のゲノムへ組み込まれてがんを発生させる」
ことは別問題です。
現時点では、後者を臨床的に証明するデータはありません。
「免疫系が破壊される」という主張は?
ダルグレイシュ教授などが問題視している仮説の一つが、
mRNAワクチンを繰り返し接種することで、
- T細胞機能
- IgGサブクラス
- 免疫寛容
- がん免疫監視
などに影響する可能性です。
こうした免疫学的変化について研究そのものは存在します。
しかし、
「mRNAワクチンによって免疫系が体系的に破壊され、その結果がんが大量発生している」
ことまで証明した研究は現在ありません。
2026年に発表されたmRNAワクチン安全性レビューでも、悪性腫瘍増加を含む複数の懸念が検討されていますが、大規模安全性データは全体として良好なbenefit-risk profileを支持していると結論づけています。なお、このレビューにはModerna所属著者が含まれるため、利益相反も含めて評価する必要があります。
がん増加にはCOVIDパンデミックそのものの影響もある
もう一つ見落とせないのが、
パンデミックによるがん診療の遅れ
です。
2020~2022年頃には、
- がん検診の減少
- 病院受診の延期
- 手術の延期
- 診断の遅れ
- 医療機関へのアクセス制限
などが世界中で発生しました。
そのため、本来ステージ1や2で発見されるはずだったがんが、
数年後にステージ3や4で発見されるケースが増えた可能性があります。
2025年のレビューでも、パンデミック後に観察されるがんの増加や進行について、
COVID-19感染そのものだけでなく、
診断や治療の遅れが影響した可能性
が指摘されています。
したがって、
「パンデミック後に進行がんが増えた」
↓
「ワクチンが原因だ」
と直結させることはできません。
興味深いことにmRNAは「がん治療」にも使われている
ここで非常に興味深い事実があります。
mRNA技術そのものは、
がんを引き起こす技術としてではなく、がん治療技術として数十年前から研究されています。
2025年のレビューでは、mRNAを使ったがんワクチンについて多数の臨床試験が進行していると報告されています。
さらに2026年8月には、ModernaとMerckが開発する個別化mRNAがんワクチンについて、大規模臨床試験で悪性黒色腫の再発・転移を抑える結果が報告されました。
つまり、
「mRNA=がんを引き起こす技術」
という単純な図式ではありません。
むしろ現在の腫瘍学では、
mRNAを利用して免疫系にがん細胞を攻撃させる
という研究が急速に進んでいます。
ではダルグレイシュ教授の問題提起は無視してよいのか
ここも重要です。
科学では、少数の症例や臨床医の観察から重要な安全性シグナルが発見されることがあります。
そのため、
「接種後に不可解ながん再発を多数経験した」
という腫瘍学者の観察そのものを無視する必要はありません。
むしろ、
- 国別がん登録
- 接種回数
- 年齢
- がん種
- がんステージ
- 接種から診断までの期間
- COVID感染歴
- 他のリスク因子
を含む大規模研究で検証する価値があります。
2026年のレビューも、
COVID感染・ワクチン接種とがんとの潜在的関連について、
より厳密な疫学研究や長期追跡研究が必要
と結論づけています。
したがって、
「絶対にあり得ない」
と決めつけるのも、
「すでに証明された」
と断言するのも、どちらも現時点では適切ではありません。
現在分かっていることを整理すると
現在のエビデンスは、大きく次のように整理できます。
① ダルグレイシュ教授がワクチンとがんとの関連を主張している
→ 事実です。米上院でも正式に証言しています。
② ワクチン接種後に急速ながん進行や再発が起きた症例報告がある
→ あります。
③ それによって因果関係が証明された
→ まだ証明されていません。
④ 「ターボ癌」は正式な医学診断名
→ いいえ。一般的な腫瘍学の正式診断名ではありません。
⑤ mRNAワクチンは人間のDNAを書き換える
→ 現在の規制機関やゲノム研究機関の説明では、その証拠はありません。
⑥ mRNA COVID-19ワクチンは遺伝子治療として分類されている
→ EMAなどでは感染症ワクチンとして分類され、遺伝子治療とは扱われていません。
⑦ ワクチンががんを増やすかどうかについて研究を続ける意味はある
→ あります。長期的な疫学データによる検証は重要です。
「870万人を対象にがん増加を確認」という主張は何を指しているのか
この議論でさらに注目されているのが、
「約870万人を対象とした2つの大規模研究で、COVID-19ワクチン接種者の複数のがんリスクが上昇していた」
という主張です。
SNSでは、しばしば次の数字がまとめて紹介されています。
- 乳がん:+54%
- 前立腺がん:+69%
- 肺がん:+53%
- 膀胱がん:+62%
- 大腸がん:+35%
- 胃がん:+34%
- 甲状腺がん:+35%
一見すると、1つの巨大研究でこれらすべての増加が確認されたように見えます。
しかし原著論文を確認すると、これらは1本の研究から出た数字ではありません。
主に、
韓国の約840万人を調べた研究
と、
イタリアの約29万6000人を調べた研究
という2つの異なる観察研究の結果を組み合わせたものです。合計すると約870万人になります。
韓国840万人研究では何が報告されたのか
2025年に『Biomarker Research』に発表された韓国の研究では、韓国国民健康保険データベースから、
8,407,849人
のデータが解析されました。
研究期間は2021~2023年で、COVID-19ワクチン接種後1年間のがん発症リスクを接種状況別に比較しています。
その結果、接種群では以下のがんについて統計学的な関連が報告されました。
- 前立腺がん:HR 1.687 → 約69%高い
- 肺がん:HR 1.533 → 約53%高い
- 甲状腺がん:HR 1.351 → 約35%高い
- 胃がん:HR 1.335 → 約34%高い
- 大腸がん:HR 1.283 → 約28%高い
- 乳がん:HR 1.197 → 約20%高い
つまり、SNSで紹介される、
前立腺+69%、肺+53%、胃+34%、甲状腺+35%
という数字は、実際にこの韓国研究のハザード比から算出された値とほぼ一致します。
ただし、乳がんについて韓国研究が示したのは約+20%であり、+54%ではありません。
また、大腸がんも韓国研究では約+28%です。
では「乳がん+54%」「膀胱がん+62%」「大腸がん+35%」はどこから来たのでしょうか。
イタリア29万6000人研究では乳がん+54%、膀胱がん+62%
もう一つが、イタリア・ペスカーラ県の住民を対象に行われた大規模コホート研究です。
対象者は、
296,015人
で、2021年から2023年まで最大30か月追跡されました。
この研究では、少なくとも1回COVID-19ワクチンを接種した人について、
- 乳がん:HR 1.54 → 約54%高い
- 膀胱がん:HR 1.62 → 約62%高い
- 大腸・直腸がん:HR 約1.34~1.35 → 約34~35%高い
という「がんによる入院」との統計学的関連が報告されています。
つまりSNSで並んでいる、
乳がん+54%
膀胱がん+62%
大腸がん+35%
という数字はこちらのイタリア研究から来ていると考えられます。
したがって、投稿で紹介されている7つの数字は、
韓国研究とイタリア研究の結果を組み合わせて作られた一覧
です。
「870万人研究で全部増えた」という表現には注意
数字そのものには原典がありますが、
「870万人を対象とした研究で、乳がん+54%、前立腺がん+69%、肺がん+53%……が確認された」
と書くと少し誤解を招きます。
より正確には、
「韓国約840万人とイタリア約29.6万人、合計約870万人を対象とした2つの観察研究で、複数のがんについて統計学的関連が報告された」
となります。
さらに重要なのは、2研究で測定したアウトカムも完全には同じではないことです。
韓国研究は主としてがん発症リスクを解析しています。
一方イタリア研究は主としてがんを理由とする初回入院を解析しています。
そのため数字を単純に横並びにして、
「ワクチンによって各がんが○%増えた」
と断定することには注意が必要です。
それでも大規模データで「関連」が出たことは重要
一方で、この結果を単純に無視するのも適切ではありません。
特に韓国研究は840万人を超える非常に大規模な医療データベースを利用した研究です。
研究者ら自身も、
- 甲状腺がん
- 胃がん
- 大腸がん
- 肺がん
- 乳がん
- 前立腺がん
について、ワクチン接種後1年間に統計学的に有意な関連が観察されたと報告しています。
さらにワクチン種類別の解析では、
mRNAワクチンについて、
- 甲状腺がん
- 大腸がん
- 肺がん
- 乳がん
との関連が報告されました。
このため、
「COVID-19ワクチンとがんについて大規模疫学研究では何のシグナルも出ていない」
と断言するのも、現在のデータを正確に反映しているとは言いにくくなっています。
ただし「ワクチンががんを発生させた」とは証明していない
ここが最も重要です。
韓国研究もイタリア研究も、
観察研究
です。
つまり、
「接種者と非接種者で、後から起きた病気に違いがあったか」
を医療データから調べています。
こうした研究では、
- 年齢
- 性別
- 基礎疾患
- COVID感染歴
- 医療機関への受診頻度
- がん検診率
- 喫煙
- 飲酒
- 社会経済状況
など、さまざまな要因の影響を完全には除去できません。
2026年にこれらの研究をまとめて検討したレビューも、韓国研究について、
残余交絡、検出バイアス、追跡期間の短さなどがあるため、因果関係を結論づけることはできない
と指摘しています。
イタリア研究では「365日空ける」と結果が変化した
イタリア研究には、さらに重要なポイントがあります。
ワクチン接種後からがんによる入院までの最低期間を365日に設定した感度分析では、一部の関連が弱くなったり逆転したりしました。
例えば3回以上接種した人では、365日のラグを設定すると、
肺がんや前立腺がんによる入院リスクがむしろ低くなる結果
も確認されています。
研究者ら自身も、
- healthy vaccinee bias
- 未測定の交絡因子
- 医療利用行動の違い
などの影響を完全に除外できないため、結果は**preliminary(予備的)**なものだとしています。
つまり、
「+54%」「+69%」
という数字だけを取り出すと非常に衝撃的ですが、論文全体を見ると解釈はもっと慎重です。
では、この2研究をどう評価すればよいのか
現在の段階では、
「COVID-19ワクチンががんを引き起こすことを確認した研究」
と呼ぶのは正確ではありません。
より科学的には、
COVID-19ワクチン接種と特定のがんとの統計学的関連、あるいは安全性シグナルを報告した大規模観察研究
と表現するのが適切でしょう。
しかし同時に、合計約870万人という規模の人口データから複数のがんについてシグナルが報告された以上、
長期的な追跡研究で再検証する価値のある結果
であることも確かです。
2026年のレビュー論文でも、韓国約840万人とイタリア約30万人の研究を取り上げたうえで、現在のデータは「因果関係の証明」ではなく、さらに厳密な長期疫学研究を必要とする初期の安全性シグナルとして評価されています。
「ファウチとゲイツが世界にCANCERを注入したことを確認」は研究の結論ではない
そして、ここは明確に区別する必要があります。
これらの研究は、
アンソニー・ファウチ氏やビル・ゲイツ氏が「世界にがんを注入した」ことを証明した研究ではありません。
研究論文ではそのような結論は述べられていません。
確認されたのは、
一部のがんについて、接種者と非接種者の間に統計学的な差が観察された
ということです。
そこから、
「ワクチンが直接がんを発生させた」
さらに、
「特定の人物が意図的にがんを発生させた」
という結論に進むには、まったく別次元の証拠が必要になります。
したがって、この約870万人のデータについて最も正確に整理すると、
大規模な2つの観察研究で複数のがんとの統計学的関連が報告されたことは事実。しかし、それだけでワクチンががんの原因だと確認されたわけではない
ということになります。
そして、この点こそアンガス・ダルグレイシュ教授らの問題提起を検証するうえで、今後もっとも重要な研究テーマの一つになるでしょう。
まとめ
アンガス・ダルグレイシュ教授が、
COVID-19 mRNAワクチン接種後に、
「長期寛解していたがん患者が突然再発した」
「非常に攻撃的ながんを目にするようになった」
と問題提起しているのは事実です。
2026年6月3日には米上院の公聴会でも、このテーマについて正式に証言しています。
さらに、ワクチン接種やCOVID感染後にがんの再発・進行を報告した症例論文が存在することも事実です。
しかし、
「COVID-19 mRNAワクチンがターボ癌を引き起こすことが証明された」
という段階には現在ありません。
同じ米上院公聴会でASCOのChief Medical Officerは、現時点でmRNA COVID-19ワクチンががんを引き起こすという臨床的証拠はないと証言しています。
米国立がん研究所も同様に、COVID-19ワクチンががんを発生・再発・進行させる証拠はないとしています。
したがって現在最も正確な整理は、
「安全性について疑問を呈する腫瘍学者や症例報告は存在する。しかし、それを人口レベルの因果関係として確立するデータはまだない」
というものです。
この問題で今後本当に重要なのは、政治的な立場やSNS上の強い言葉ではなく、
国レベルのがん登録データを使って、接種回数・感染歴・年齢・がん種・診断時ステージ・死亡率を長期的に比較すること
でしょう。
もしそこに再現可能な安全性シグナルが存在するなら、大規模疫学研究によって明らかになるはずです。
逆にそのようなシグナルが確認されないのであれば、「ターボ癌」という仮説にも修正が必要になります。
このテーマは「完全なデマ」か「巨大な隠蔽」かという二択で見るより、臨床上の問題提起と、因果関係を証明するために必要な科学的証拠を分けて見ることが重要です。