スペースX、SESの通信衛星「O3b mPOWER」3機を初の同時打ち上げ 衛星群が計13機体制に

米スペースX(SpaceX)は2026年9月13日(現地時間)、衛星通信大手SES向けの中軌道通信衛星「O3b mPOWER」3機を搭載したファルコン9ロケットを、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の第40発射施設(SLC-40)から打ち上げた。打ち上げ時刻は米東部夏時間午後2時49分に開く87分間のウィンドウ内に設定されており、O3b mPOWERミッションとして初めて1回の打ち上げで3機をまとめて軌道へ送り込む形となった。 今回搭載されたのは「F11」「F12」「F13」と呼ばれる3機の衛星で、いずれも米ボーイングが製造を担当した。SESによれば、これで中軌道を周回するO3b mPOWER衛星群は合計13機体制となり、同社が計画してきた衛星コンステレーションが完成に近づくことになる。打ち上げ後、各衛星は自前の電気推進システムを使って高度8000キロメートルまで軌道を引き上げ、機器の試験を経たうえで、2027年初頭までに既存の稼働中衛星10機とともに商用サービスへ本格的に組み込まれる予定だという。 1段目ブースターには、これまでに国際宇宙ステーション(ISS)向けの有人ミッションを含む数多くの飛行実績を持つ「B1080」が使用された。今回が29回目の飛行となり、打ち上げからおよそ8分半後に大西洋上で待機するドローン船「A Shortfall of Gravitas」への着陸を目指した。スペースXにとっては660回を超える累計ブースター着陸の節目にもあたるミッションとなる。 O3b mPOWERは、静止軌道の通信衛星に比べて地球に近い中軌道(MEO)から高速・低遅延の通信サービスを提供することを目指すシステムで、航空・海運業界や政府機関、僻地の通信インフラ向けに需要が見込まれている。今回の3機同時打ち上げの成功により、SESは中軌道通信サービスの提供体制をさらに拡充させることになる。 出典: Spaceflight Now「Live coverage: SpaceX to launch final 3 O3b mPOWER satellites for SES」(2026年9月13日)

Read more

過去最大級の超新星カタログ、標準宇宙論モデルに一致しない「進化するダークエネルギー」を示唆

豪クイーンズランド大学の博士課程学生ライアン・カミレリ氏らが主導する国際研究チームが、宇宙の距離測定に使われるIa型超新星2884個分のデータを統合した過去最大級のカタログを構築し、宇宙論の標準モデルに疑問を投げかける結果を発表した。研究には、ダークエネルギー・サーベイ(DES)やファウンデーション超新星サーベイ、パンスターズ1(Pan-STARRS1)、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)、超新星レガシーサーベイ(SNLS)、カーネギー超新星プロジェクト、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの超新星サーベイなど、数十年にわたり蓄積されてきた複数の観測プロジェクトのデータが結集された。 研究チームは、過去30年間にわたって別々の手法・機器で取得されてきた観測データを、現代の較正技術を用いて統一的な枠組みに再構築した。この結果、Ia型超新星を用いた宇宙膨張の歴史測定として、これまでで最も精度が高く一貫性のあるデータセットが得られたという。カミレリ氏は、今回の成果が超新星宇宙論における新たな世界的基準になるとしている。 もっとも注目されるのは、標準的な宇宙論モデル(ラムダCDMモデル)が前提とする「ダークエネルギーは時間によらず一定である」という仮定と、今回のデータが整合しなかった点だ。統合されたデータセットからは、ダークエネルギーの強さが宇宙の歴史の中で変化してきた可能性を示す証拠が新たに得られたという。これは、2024年に発表されたダークエネルギー分光装置(DESI)による観測結果が示していた「ダークエネルギーは弱まりつつあるのではないか」とする示唆を、まったく独立した手法・データセットから裏付けるものとなる。 ダークエネルギーは宇宙の加速膨張を引き起こしているとされる正体不明のエネルギーで、現在の宇宙論では宇宙全体のエネルギー密度の大半を占めると考えられている。もしその性質が時間とともに変化しているとすれば、宇宙の起源や将来を記述する基礎理論そのものを見直す必要が出てくる可能性がある。 研究チームは、今回の結果はあくまで統計的な証拠の積み重ねであり、断定的な結論に至るにはさらなる検証が必要だとしている。今後もダークエネルギー・サーベイなど複数の観測プロジェクトのデータを組み合わせた解析を継続し、ダークエネルギーが本当に「進化」しているのかどうかを見極めていく方針だという。 出典: phys.org「Big supernova dataset challenges dark energy theory」(2026年9月8日)

Read more

ジブチがアルテミス合意に署名へ、72カ国目の署名国に 9月14日にNASA本部で式典

米航空宇宙局(NASA)は、ジブチ共和国が「アルテミス合意(Artemis Accords)」に署名し、72番目の署名国となる見通しだと発表した。署名式典は米東部夏時間2026年9月14日(月)午前11時、ワシントンのNASA本部で開催される予定で、報道陣向けの案内も併せて公開された。 式典にはNASAのマット・アンダーソン副長官が主催者として臨席するほか、駐米ジブチ大使のモハメド・シアド・ドゥアレ氏、さらに米国務省アフリカ担当次官補のフランク・ガルシア氏も出席する予定だという。式典は対面形式のみで実施される。 アルテミス合意は2020年、当時のトランプ政権下でNASAと米国務省が主導し、米国を含む8カ国の創設メンバーによって発足した国際的な枠組みだ。月やその他の天体における探査・利用活動について、透明性の確保や運用の相互運用性、緊急時の相互支援、科学データの公開、宇宙資源の利用、活動の干渉回避、遺産(史跡)の保護、そしてスペースデブリ(宇宙ゴミ)対策といった原則を各国が共有することを目的としている。発足から6年で署名国は着実に増え続けており、今回のジブチの参加によって70カ国を超える規模に達することになる。 アフリカの角(ホーン・オブ・アフリカ)に位置し、紅海とアデン湾を結ぶ要衝としても知られるジブチの参加は、アフリカ諸国におけるアルテミス合意への関心の広がりを示す動きの一つといえる。NASAはこれまでも、月面探査を中心とした有人宇宙探査計画「アルテミス計画」を進める上で、各国政府や民間セクターとの国際協力の枠組みを重視する姿勢を示してきた。 今回の署名によって、アルテミス合意に基づく国際的な宇宙探査のルール作りが、地理的にもより幅広い国々を巻き込む形で進んでいくことになりそうだ。NASAは今後も新規署名国の追加を継続的に発表していく方針とみられる。 出典: NASA「NASA Invites Media to Djibouti Artemis Accords Signing Ceremony」(2026年9月)

Read more

水星の地殻、二酸化ケイ素は想定より最大25%少ないと判明 独マックスプランク研究所

ドイツのマックスプランク太陽系研究所(MPS)と独ミュンスター大学、ゲッティンゲン大学の研究チームが、水星表面に含まれる二酸化ケイ素(SiO2)の量について、これまでで最も精度の高い推定値を導き出したとする研究成果を発表した。クリスチャン・レングリ氏が筆頭著者を務め、成果は2026年8月27日付で学術誌に掲載された。 研究チームは、赤外線分光観測データを地上実験と照合するため、二酸化ケイ素の含有率を重量比でわずか0.5%から97.6%まで幅広く変化させた実験用ガラスを独自に作製した。これを直径0.5ミリメートルほどの微小なガラスビーズに加工し、赤外線分光法で詳細に分析することで、水星表面の観測データを解釈するための精密な基準を確立したという。 その結果、水星表面の二酸化ケイ素含有率は重量比でおよそ37%にとどまり、これまでの推定より最大25%ほど少ないことが判明した。地球では玄武岩や花こう岩に含まれる二酸化ケイ素の割合が75%に達することもあり、地表のいたるところで砂などの形でありふれた物質だが、水星ではそれよりもはるかに乏しいことになる。 レングリ氏によれば、この低い含有率は、水星の火山岩がこれまで考えられていたよりもずっと深いマントル物質が溶けて形成されたことを示唆しているという。水星では誕生からおよそ10億年ほどで火山活動がほぼ停止し、その後は溶岩に覆われることのない硬い岩石質の地殻が長期間にわたって維持されてきたとみられる。今も活発な地質活動が続く地球とは対照的に、水星は太陽系形成初期のごく早い段階で「地質的に静止した」天体になった可能性を示す結果だ。 研究チームは今後、欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同運用する水星探査機べピコロンボが水星周回軌道へ投入された後に得られるデータも活用し、今回の推定値をさらに検証していく方針だという。 出典: ScienceDaily「Mercury’s surface reveals a surprisingly fiery past」(2026年9月11日)

Read more

「ブラックホールは宇宙膨張とともに成長」新理論、初期宇宙の”規格外”天体の謎に一石

カナダ・ビショップス大学のヴァレリオ・ファラオーニ氏と、イタリア・トレント大学のマッシミリアーノ・リナルディ氏という2人の理論物理学者が、ブラックホールは周囲の宇宙の膨張から切り離された孤立した存在ではなく、宇宙全体の膨張に合わせて自らも大きくなっていく可能性があるとする新たな理論研究を発表した。論文はプレプリントサーバー「arXiv」に2026年8月下旬に投稿されている。 従来、ブラックホールのような重力で強く束縛された天体は、宇宙全体が膨張していても、その影響を受けずに一定のサイズを保つと考えられてきた。しかし両氏は以前の研究で、静的なブラックホールの条件を現実の膨張する宇宙背景に合わせて単純に修正しようとすると、数学的に矛盾した「裸の特異点」が生じてしまい、理論として破綻することを示していた。 今回の研究では、この矛盾を解消するため、光さえも脱出できなくなる境界である「見かけの地平面」に着目し、その境界が宇宙膨張よりも速く広がるのか、遅く広がるのか、あるいは同じ速さで広がるのかを詳しく検証した。その結果、数学的にも物理的にも矛盾なく成り立つ唯一の解は、ブラックホールの地平面が最終的に宇宙膨張とまったく同じ速さで広がる「共動(コムービング)」状態に落ち着くケースだけだったという。 この理論が注目される背景には、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)をはじめとする近年の観測が、誕生からまだ日の浅い初期宇宙の銀河の中に、理論的な予測をはるかに超える質量を持つ超巨大ブラックホールを次々と発見してきたという事情がある。通常のガス降着だけでは到底説明できないこれらの「規格外」ブラックホールの急成長について、宇宙膨張そのものと結びついた成長メカニズムが働いていたとすれば、有力な説明の一つになり得るという。研究チームは今後、この理論が観測データとどこまで整合するのか、さらなる検証を重ねていく方針だという。 出典: Universe Today「Do Black Holes Grow Along With the Universe? A New Study Says Yes」(2026年9月)

Read more

ロケットラボ、NASAの火星通信網契約めぐりブルーオリジンへの発注にGAOへ抗議申し立て

米新興ロケット企業ロケットラボ(Rocket Lab)は2026年9月11日、米航空宇宙局(NASA)が火星向け通信中継衛星network「マーズ・テレコミュニケーションズ・ネットワーク(MTN)」の開発契約を競合のブルーオリジン(Blue Origin)に発注したことを不服として、米政府監査院(GAO)に正式な異議申し立て(プロテスト)を行ったことを明らかにした。 NASAは、最大契約総額およそ7億ドル(約1000億円)にのぼる確定価格契約をブルーオリジンに授与したと発表していた。契約内容は、火星と地球との間で科学データや画像、航法情報、各種通信を中継する高性能な通信衛星の設計・開発・製造・打ち上げ・運用を一括して担うというもので、ブルーオリジンは2028年12月末までに衛星をNASAへ引き渡し、2030年までに火星圏での運用開始を目指すとされている。 ロケットラボは声明で、「NASAの発注判断は、連邦議会が定めた入札資格基準と整合していないように見える」と主張し、加えて「自社の技術提案書に対する審査が一貫性を欠き、誤った事実認定や結論に基づいていた」と、審査プロセスそのものにも疑義を呈した。ブルーオリジンとロケットラボは今回の契約をめぐる最有力候補と目されており、両社の争いはNASAの選定発表後も続く形となっている。 なお、ブルーオリジンをめぐっては2021年、NASAが有人月着陸船の開発をスペースXに発注した際に、同社自身がGAOへ抗議を申し立てた経緯がある(GAOはこの抗議を退けている)。今回はその立場が入れ替わり、契約を勝ち取った側のブルーオリジンに対し、敗れたロケットラボが異議を唱える構図となった。GAOは通常、抗議の受理から100日以内に裁定を下すことになっており、今後の判断次第では火星通信網計画のスケジュールに影響が及ぶ可能性もある。 出典: Space.com「Rocket Lab protests NASA’s decision to award Blue Origin $700 million Mars orbiter contract」(2026年9月11日)

Read more

アルテミスIII用SLSコアステージ、4基のRS-25エンジン取り付け完了 うち1基はジョン・グレン飛行にも使用

NASAは、有人月面着陸を目指す「アルテミスIII」ミッションに使用する巨大ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の第3コアステージについて、4基のRS-25エンジンすべての取り付け作業が完了したと発表した。作業はフロリダ州のケネディ宇宙センターで進められ、2026年8月24日に始まった取り付け作業が9月10日までに完了した。 今回搭載された4基のRS-25エンジンは、いずれもスペースシャトル計画で実際に飛行した経験を持つ機体を再整備したものだ。中には、1998年のスペースシャトル「ディスカバリー号」によるミッション「STS-95」で使用されたエンジンも含まれている。このミッションは、当時77歳だった米上院議員で宇宙飛行の先駆者ジョン・グレン氏を再び宇宙へ送り届けたことで知られる、歴史的な飛行だった。シャトル時代のエンジンがアルテミス計画の月着陸ミッションで「最後の飛行」を迎えることになる点も、今回の節目を印象づけている。 4基のエンジン取り付けが完了したことで、コアステージは今後、配線や断熱材の取り付けといった残りの艤装(ぎそう)作業に移る。作業が完了次第、コアステージは発射用の可動式ランチャー「モバイル・ローンチャー1」上へ移送され、すでに組み立てが進む2基の大型固体燃料ブースターの間に据え付けられる予定だ。NASAはアルテミスIIIについて、2027年内の打ち上げを目指してスタッキング作業を含む準備を加速させている。 アルテミスIIIは、アポロ計画以来となる有人での月面着陸を目指すミッションで、今年4月に実施された有人月周回ミッション「アルテミスII」に続く重要な一歩と位置づけられている。NASAは今後も機体の組み立てや飛行士訓練の進捗を随時公表していく方針で、シャトル時代の技術遺産を受け継いだRS-25エンジンが、次世代の月探査を支える様子が注目されている。 出典: NASA「NASA Starts Artemis III Engine Install; Boosters, Crew Training Advance」(2026年8月/9月)

Read more

BepiColombo、水星への高エネルギー粒子降り注ぐ様子を至近距離で計測 弱い磁場が生む「X線オーロラ」

欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で運用する水星探査機「べピコロンボ(BepiColombo)」が、太陽から放出された高エネルギー粒子が水星表面に降り注ぐ様子を、これまでにない近距離から詳細に捉えていたことが明らかになった。観測は2024年9月に実施された同探査機4回目の水星フライバイの際に行われ、解析結果が2026年9月上旬に発表された。 水星は地球と同様に固有の磁場を持つが、その強さは地球のおよそ100分の1程度と非常に弱い。今回、べピコロンボに搭載された太陽X線・粒子分光計「SIXS」が、太陽面で発生した爆発現象に伴って加速された電子や陽子が、この脆弱な磁場をすり抜けて水星表面に直接到達する様子を検出した。粒子が表面に衝突する際には水星の岩石中の元素が励起され、X線を放つ「蛍光」現象が引き起こされることも確認されたという。 研究チームによれば、水星の磁気圏内部では、太陽風によって引き伸ばされた磁力線が再びつながり直す「磁気再結合」に伴って電子が急激に加速される「サブストーム」と呼ばれる現象が起きており、加速された電子が夜側から昇交点方向へ高速で移動しながら、閉じた磁力線に沿って表面へ降り注いでいるとみられる。地球であればオーロラとして目に見える形で現れるこうした粒子降下が、水星では大気がほとんど存在しないために表面まで直接到達し、X線として観測される点が特徴的だ。 水星は太陽に最も近い惑星であるがゆえに、太陽活動の影響を惑星科学の観点から調べる格好の実験場となっている。べピコロンボは2026年内にも水星周回軌道への投入に向けた最終フェーズへ進む予定で、研究チームは今後、周回軌道からのより継続的な観測を通じて、水星の磁気圏と太陽風の相互作用の全体像をさらに解明していく方針だという。 出典: phys.org「BepiColombo measures Mercury’s particle bombardment up close」(2026年9月)

Read more

ハッブルとJWST、海王星より遠い極小天体27個を発見 「衝突の記憶」が形成過程の謎に迫る

米ビクトリア大学とノーザンアリゾナ大学の博士課程学生らが率いる国際研究チームが、ハッブル宇宙望遠鏡とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を組み合わせた観測により、海王星軌道の外側を周回する太陽系外縁天体(TNO)を新たに27個発見したと発表した。可視光に強いハッブルと赤外線に強いJWSTを同時に活用してTNOを調べる試みは、今回が初めてだという。成果は米航空宇宙局(NASA)などから2026年9月上旬に公表された。 今回見つかった天体の中で最も小さいものは直径わずか5キロメートルほどしかなく、その暗さは「月面を横切るホタルの光を地球から見つける」ことに例えられるほどだという。多くは肉眼で見える限界の1億倍以上も暗く、これまでの観測技術では捉えることが極めて難しい対象だった。これらの天体は、惑星が形成される以前、微惑星同士が合体を始める前の段階からほとんど姿を変えずに残ってきたとみられる、太陽系形成初期の「化石」のような存在とされる。 研究チームが特に注目したのは、これら極小天体の表面の色が、はるかに大きい既知のTNOと非常によく似ていた点だ。天体同士の衝突は表面を削り取ったり組成を変えたりすると考えられてきたが、今回のサンプルではそうした痕跡が予想したほど見られず、衝突による改変が限定的だったことを示唆している。また、軌道の性質で分類される「低温(コールド)」集団と「高温(ホット)」集団の間で、天体のサイズ分布が驚くほど似通っていることも判明した。これは、微惑星が形成される過程が、原始太陽系円盤内の環境条件にあまり左右されない、普遍的な現象である可能性を示している。 あわせて、理論モデルが予測していたよりも小さなTNOの個数が少なかったという結果も得られた。これは、微惑星の形成理論そのものを見直す必要があることを意味しており、研究チームは今後もハッブルとJWSTの連携観測を広げ、太陽系最外縁部に眠る「原始の記録」をさらに読み解いていく方針だという。 出典: NASA Science「NASA’s Hubble, Webb Find Far-out Solar System Objects ‘Remember’ Past」(2026年9月)

Read more

ケンタウルス族天体カリクロの「見えない環」が数年で変化 JWSTの掩蔽観測で判明

土星と天王星の軌道の間を周回する小天体「カリクロ(Chariklo)」を取り巻く2本の環について、その構造がわずか数年という短い時間スケールで変化していることを示す観測結果が発表された。成果は学術誌「Science Advances」に2026年9月9日付で掲載された。研究は仏・スペイン・アンダルシア宇宙物理学研究所(IAA-CSIC)などの国際チームが主導した。 カリクロは直径わずか250キロメートルほどの小天体で、太陽からおよそ17天文単位離れた軌道を周回している。2013年に環を持つことが発見されて以来、土星のような環を持つ小天体として注目を集めてきたが、地球からの距離が遠く環自体も非常に細いため、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)や地上の大型望遠鏡をもってしても直接撮影することはできない。そこで研究チームは、恒星の手前をカリクロが通過する際にわずかに減光する現象を捉える「恒星掩蔽(えんぺい)」という手法を用いて、環の性質を間接的に調べた。今回の解析に使われた観測は2022年10月18日にJWSTで行われたものだ。 過去の掩蔽観測データと比較した結果、内側の環「C1R」と外側の環「C2R」で、互いに正反対とも言える変化が確認された。内側の環はおよそ50%密度が増加した一方、外側の環はおよそ60%も減光しており、明るさが大きく低下していたという。これほど短期間で小天体の環にこうした変化が観測されたのは今回が初めてで、これまで比較的安定した構造だと考えられてきた小天体の環系に対する見方を見直す必要があることを示している。 研究チームは、環を構成する粒子同士の軌道共鳴が、数十年単位で環の構造を作り替えている可能性を指摘している。カリクロのような小天体がなぜ環を保持できるのか、その形成・維持メカニズムはいまだ完全には解明されていない。研究チームは今後も追加の掩蔽観測を重ね、環の変化がどのような周期やパターンをたどるのかを継続的に追跡していく方針だという。 出典: phys.org「JWST discovers that Chariklo’s invisible rings are changing」(2026年9月)

Read more