若い恒星PDS 70の周りに彗星の存在示す証拠、惑星系内側へ水を運ぶ仕組みか

スウェーデン・ルンド大学の研究チームが、地球から約370光年離れた若い恒星「PDS 70」の周辺で、太陽系外彗星(エクソコメット)が存在する証拠を発見したと発表した。研究成果は学術誌「Nature Communications」に掲載され、筆頭著者は同大学物理学科の博士研究員アリーヌ・ノヴァイス氏が務めた。 PDS 70は誕生からおよそ550万年というまだ若い「Tタウリ型星」で、周囲には惑星が形成されつつある円盤が広がっていることで知られる。これまでジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測で、この系の内側の円盤に水が存在することが確認されていたが、その水がどこから供給されているのかは明らかになっていなかった。 研究チームは今回、PDS 70系における彗星の軌道をコンピューターでモデル化した。その結果、系内にすでに存在が確認されているガス惑星が、遠方にある氷天体の軌道を重力で乱し、恒星に近い内側へと弾き飛ばしている可能性が示された。恒星に近づいた氷天体は昇華し、その際に放出された水蒸気が系の内側に水をもたらしているとみられるという。 この仕組みは、太陽系形成初期に彗星が地球へ水を運んだと考えられている過程と類似している。研究チームは、PDS 70のような若い惑星系を観測することで、地球のような水を持つ惑星がどのように形成されるのか、その普遍的な仕組みを理解する手がかりが得られるとしている。 出典: phys.org「Young sunlike system reveals comets may carry water toward forming planets」(2026年9月3日)

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JWST、初期宇宙の「クエーサーもどき」の正体は爆発的星形成銀河と判明

オランダ・ライデン大学のサラ・ボスマン氏らの国際研究チームが、これまで「暗いクエーサー」として分類されていた初期宇宙の天体2つについて、実際には猛烈な勢いで星を生み出す銀河だった可能性が高いとする研究成果を発表した。今回の成果はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による追加観測に基づくもので、宇宙が誕生からまだ9億年に満たなかった時代の天体を対象としている。 研究対象となったのは、赤方偏移z=6.63の「J1450-0144」とz=6.80の「J1429-0104」という2天体で、いずれも大規模探査プロジェクト「SHELLQs」によって暗いクエーサー候補として発見されていた。紫外線で明るく輝く星形成銀河と光度の低いクエーサーは、いずれも青みがかった紫外線連続光と強い水素ライマンアルファ輝線を示すため、従来の低感度な分光観測だけでは区別が難しいという課題があった。 研究チームがJWST搭載の近赤外線分光器(NIRSpec)とアルマ望遠鏡のミリ波観測データを組み合わせて詳細に調べたところ、両天体から大質量星特有の「Pシグニ・プロファイル」と呼ばれる恒星風の痕跡や、非常に強く幅広いヘリウム(He II)の輝線が検出された。太陽質量の100倍を上限とする通常の星集団モデルではこの強いヘリウム輝線を再現できず、太陽の200倍を超えるような極めて質量の大きい星が存在する可能性が示唆されたという。 今回の結果は、初期宇宙で観測される「暗いクエーサー」の一部が、実際には超大質量星を含む極端な星形成銀河である可能性を示すものであり、クエーサーと銀河を区別する従来の観測手法に見直しを迫るものだ。研究チームは今後もJWSTなどによる詳細な追跡観測を進め、初期宇宙における超大質量星形成の実態解明を目指す方針だという。 出典: phys.org「JWST finds extreme star-forming galaxies masquerading as faint quasars」(2026年9月)

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金星に「かつて衛星があった」? 消えた月の謎に新たな仮説

太陽系の惑星の多くが衛星を持つ中、なぜ金星だけが衛星を持たないのかは長年の謎とされてきた。米カリフォルニア大学リバーサイド校の惑星科学者スティーブン・ケイン氏らの研究チームは、コンピューターモデルを用いた新たな研究で、金星がかつて衛星を持っていたものの、惑星自身の重力によって「飲み込まれた」可能性を示す結果を発表した。 地球の場合、自転が速いため月へ角運動量を渡し続け、月は徐々に外側へ遠ざかっている。しかし金星は243日に一度という極めて遅い自転をしており、もし衛星が存在していれば、角運動量のやり取りが逆向きに働き、衛星の軌道はむしろ内側へと縮んでいくことになる。研究チームがさまざまな条件でシミュレーションを行ったところ、多くのケースで軌道は一度外側へ広がった後、金星の自転速度の変化に伴って反転し、最終的に惑星へ向かって螺旋状に落ち込んでいく様子が再現された。 モデル計算によれば、地球の月の2倍程度の質量を持つ衛星であれば、わずか3000万年ほどで軌道が崩壊してしまう一方、より小さな衛星であれば最大17億年ほど存続できた可能性があるという。衛星が生き残るためには、金星の自転が現在よりもはるかに速く、1日の長さが12時間未満程度で、かつ衛星自体の質量が月と同程度以下に収まっている必要があったとみられる。 研究チームは、金星に衛星が存在しないのは偶然の結果ではなく、初期条件から導かれる自然な帰結だとしている。今回の成果は、地球に月があり金星にはない理由を説明する新たな手がかりであると同時に、系外惑星系における衛星の有無を予測する上でも参考になるとみられ、今後の追加検証が期待される。 出典: Space.com「Did Venus eat its own moon?」(2026年9月)

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15年間沈黙のパルサー、突如3回の「グリッチ」 PSR J1637-4642が示す中性子星内部の謎

オーストラリアのパークス電波望遠鏡による15年以上にわたる長期観測から、若い電波パルサー「PSR J1637-4642」が過去に3回、自転速度が突然変化する「グリッチ」を起こしていたことが明らかになった。誕生からおよそ4万1000年と、天文学的には非常に若いこのパルサーは、発見から最初の10年ほどはグリッチの兆候を一切見せていなかったため、その静けさ自体が研究者の関心を集めていた天体だった。 PSR J1637-4642は154ミリ秒に1回という速さで自転する中性子星で、比較的高いエネルギーを放出する活発な天体として知られる。一般に、若く自転が速いパルサーほどグリッチを頻繁に起こす傾向があるとされてきたが、この天体は長らく例外的な「静かなパルサー」だった。今回の解析で、最初のグリッチは2018年に発生していたことが判明し、その後さらに2回のグリッチが確認された。もっとも規模の大きいものでは、自転速度が100万分の3に迫る割合で急激に変化したという。 グリッチと呼ばれる現象の正確な原因はまだ完全には解明されていないが、中性子星の内部に存在すると考えられている超流体成分から、外殻にあたる固体の地殻へ角運動量が突発的に受け渡されることで生じるとする説が有力とされている。中性子星の内部構造そのものを直接観測することはできないため、グリッチのタイミングや規模を長期間にわたって記録することが、内部の物理状態を探る貴重な手がかりとなる。 今回の成果は、PSR J1637-4642のように「静か」に見えるパルサーであっても、内部では継続的に何らかの変化が進行している可能性を示すものだ。研究チームは今後もパークス電波望遠鏡による観測を継続し、追加のグリッチが発生するかどうか、またその発生パターンに規則性があるかどうかを注視していく方針だという。今回の論文は2026年8月20日にプレプリントサーバーarXivに投稿され、学術誌「The Astrophysical Journal Letters」への掲載が受理されている。 出典: phys.org「’Quiet’ pulsar suddenly reveals three glitches in 15 years of observations」(2026年9月)

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ガイア、恒星を伴う「静かなブラックホール」3例を発見 近すぎる伴星の軌道が形成理論に謎

欧州宇宙機関(ESA)の位置天文衛星「ガイア(Gaia)」による観測データから、天の川銀河内で恒星を伴いながらも物質を積極的に飲み込んでいない「静かな」恒星質量ブラックホールが、これまでに3例確認されていることが改めて注目を集めている。恒星質量ブラックホールの多くは単独で銀河内を漂うか、伴星から物質を奪い取ることなく静かに周回しているとみられ、ガイアは10億個以上の恒星の位置と運動を精密に追跡する中で、伴星のわずかな「ふらつき」からこれらのブラックホールの存在を割り出した。 今回とくに注目されているのは、3例のうち「BH1」と「BH2」と呼ばれる2つのブラックホールだ。いずれも太陽の約9倍の質量を持ちながら、伴星との軌道が従来の連星進化モデルで想定される距離よりもかなり近いことが分かっている。標準的な理論では、ブラックホールのもとになった巨大な星が膨張する過程で、これほど近い軌道にある伴星は飲み込まれてしまうはずで、生き残っていること自体が理論上の矛盾となっていた。 この謎に対し、アレクサンドラ・オレヤック氏らの研究チームは学術誌「The Astrophysical Journal」に発表した最新の研究で、「非保存的質量輸送」と呼ばれる過程、とくに伴星が自身の重力の及ぶ範囲(ロッシュローブ)を超えて膨張し、外層のガスの一部がブラックホール側の伴星へ流れ込む「ロッシュローブオーバーフロー」という仕組みが、近接軌道の伴星が生き延びる鍵になった可能性を指摘している。この過程で角運動量や質量の受け渡し方が従来の想定と異なっていれば、伴星が飲み込まれずに軌道を保てるという。 一方、3例目の「BH3」は太陽の約33倍という天の川銀河で確認された恒星質量ブラックホールとしては最大級の質量を持ちながら、伴星とは十分に離れた広い軌道を描いており、標準的な連星進化モデルでおおむね説明がつくケースとされている。同じガイア由来の発見でありながら、形成過程が大きく異なるとみられる点も研究者の関心を集めている。 研究チームは、ガイアが今後追加で公開する観測データによって、こうした「静かなブラックホール」がさらに発見される可能性が高いとみている。単独星のブラックホールでは知ることが難しい質量やスピン、伴星との相互作用の詳細を明らかにできる貴重な天体として、今後も継続的な追跡観測が計画されている。 出典: phys.org「Quiet black holes with a stellar companion raise questions about how they form」(2026年9月8日)

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月が木星を隠す「日中の掩蔽」、9月8日夜〜9日未明に発生

日本時間2026年9月9日未明、輝面比わずか約7%まで欠けた細い月が木星の前を通過し、一時的にその姿を隠す「掩蔽(えんぺい)」が発生する。国際的には現地9月8日の出来事として報じられており、北米の広い地域では太陽が昇った日中の時間帯に木星が月の背後に隠れる、比較的珍しい「日中の掩蔽」として注目を集めている。 今回の掩蔽は世界時(UTC)で9月8日17時03分ごろから20時25分ごろにかけて、日本時間では9日午前2時03分から午前5時25分ごろの範囲で発生する見通しだ。観測可能な地域はカナダ、グリーンランド、米国本土の大部分、アラスカ、カリブ海の島々、ロシア極東など。米国東部の目安として、木星が月の縁に隠れ始めてから再び現れるまではおよそ50分から1時間程度とされている。日本を含む極東アジアの一部では、掩蔽そのものではなく、明け方の空で月と木星が接近して見える「接近(合)」の様子を楽しめる見込みだ。 月が惑星の前を横切って隠す掩蔽現象自体は珍しいものではないが、今回は月齢の進んだ細い月と昼間の空という条件が重なるため、肉眼での観測はやや難しい。双眼鏡や小型望遠鏡を使えば、青白く小さな円盤状に見える木星と、その手前をゆっくり移動していく月の様子を確認しやすくなるという。ただし観測の際は、太陽の方向を誤って直接見てしまうと目を痛める危険があるため、望遠鏡や双眼鏡を太陽に向けないよう十分な注意が呼びかけられている。 今回の日中の掩蔽は、2026年から2027年にかけて断続的に続く木星の掩蔽シリーズの最初の1回にあたる。次回は日本時間10月6日ごろの未明に発生予定で、今度は夜間に見られる掩蔽となるため、より観測しやすい条件がそろうとみられている。天文ファンの間では、今回の日中の掩蔽が10月の「本番」に向けた前哨戦として位置づけられている。 出典: Space.com「The moon will hide Jupiter in broad daylight on Sept. 8 — here’s how to see it」(2026年9月)

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太陽表面に幅20キロの極小プラズマ渦を発見、コロナ加熱の謎に迫る手がかりに

米国立太陽天文台(NSO)やドイツ・マックスプランク太陽系研究所などによる国際研究チームが、ハワイ・マウイ島にある世界最大の太陽望遠鏡「ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(DKIST)」の観測データと数値シミュレーションを組み合わせ、太陽表面にわずか幅20キロメートルほどの極めて微小なプラズマの渦を多数発見したと発表した。デイビッド・クリゼ氏らが主導した成果は、2026年8月5日付の学術誌「Nature」に掲載されている。 太陽表面(光球)は、内部から上昇してきた高温プラズマが対流によって形作る、幅500〜2000キロメートル程度の粒状斑(グラニュール)で覆われていることが知られている。今回、研究チームがこの粒状斑の境界付近で磁場が特に強い領域を詳細に観測したところ、これまでの望遠鏡では分解できなかったはるかに小さいスケールで、列状に並ぶ渦や細い筋状の構造が浮かび上がった。渦の大きさは25〜170キロメートル程度で、隣り合う渦同士の典型的な間隔はおよそ65キロメートル。観測領域内だけで47個もの渦が確認されたという。 研究チームによれば、これらの渦を生み出しているのは「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性」と呼ばれる現象だ。速度の異なる2つの流体が接触する境界面で生じるこの不安定性は、海面で波頭が巻き上がる仕組みや、木星の縞模様の雲がうねる様子を生み出す物理過程と同じものだという。太陽表面でも同様の不安定性が磁場を伴うプラズマの間で常に発生し続けていることが、今回初めて直接観測によって裏付けられた形だ。 この極小の渦は、太陽表面の磁力線をねじり上げ、磁化したプラズマとそうでないプラズマを効率よくかき混ぜる働きを持つとみられている。太陽物理学では、表面温度が約6000度である太陽の光球よりも、その外側に広がるコロナの方がなぜ100万度以上もの高温になるのか、長年「コロナ加熱問題」として議論が続いてきた。研究チームは、こうした微小な渦が磁気エネルギーを効率的に大気上層へ運ぶ仕組みの一端を担っている可能性があるとしており、太陽フレアの発生メカニズムや、太陽の活動が約11年周期で変化する仕組みの理解にもつながることが期待される。 出典: ScienceDaily「The sun is covered in tiny whirlpools we’ve never seen before」(2026年8月7日)

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NASAのスイフト観測衛星、救出ミッション失敗も一部観測を再開

NASAのX線・紫外線観測衛星「ニール・ゲーレルズ・スイフト観測衛星(Swift)」が、軌道上での商業救出ミッションの失敗を経て、搭載する2つの観測装置での科学観測を再開したことが明らかになった。打ち上げから22年が経過したスイフトは、近年の太陽活動の活発化に伴う大気抵抗の増大によって軌道高度が想定より急速に低下しており、大気圏への再突入が現実味を帯びていた。 NASAは2025年9月、軌道上サービス企業のカタリスト・スペース・テクノロジーズ(Katalyst Space Technologies)と契約を結び、3本のロボットアームを備えたサービス機「LINK」を打ち上げてスイフトを捕獲し、キセノン推進系で軌道高度を引き上げる計画を進めていた。しかしLINKは地球からおよそ350キロメートル上空でスイフトへの接近作業に入った後、姿勢制御用のリアクションホイールが2基故障してスピン状態に陥り、一時通信も途絶するトラブルに見舞われた。NASAとカタリストは8月19日、スイフトの捕獲と軌道上昇の試みを断念すると発表した。 捕獲作業の中止を受け、スイフトの運用チームは8月26日、電力消費を抑えるために停止していた紫外線・可視光望遠鏡とX線望遠鏡の2つの観測装置を再起動し、観測を再開した。もう一つの主要装置であるガンマ線バースト検出用の「バーストアラート望遠鏡(BAT)」は、太陽電池パネルの向きを調整して大気抵抗をさらに抑えるため4月から停止されたままで、チームは今後数週間でのデータ収集再開を目指しているという。専門家は、大気抵抗によって軌道高度の低下が想定以上に早く進んでおり、あと1〜2か月ほどで運用継続に必要な限界高度を下回る可能性があると指摘している。 今回のミッションは、老朽化した衛星の軌道を民間企業のサービス機が引き上げるという、初めての試みとして注目されてきた。捕獲自体は実現しなかったものの、LINKは現在も自身の軌道を引き上げながら、スイフトとのランデブー技術の実証を続ける計画だという。NASAのスイフトチームは、いずれ地球に落下する運命にある観測衛星から、残された時間でできる限り多くの科学的成果を引き出すことを最優先課題としている。 出典: Space.com「NASA’s doomed Swift space telescope restarts science work after rescue mission fails」(2026年9月)

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中国FAST望遠鏡、子持ち銀河M51近くに「星のない」水素ガス雲を発見

中国の巨大電波望遠鏡FAST(500メートル球面電波望遠鏡)を用いた観測により、りょうけん座の渦巻銀河M51「子持ち銀河(ホエールプール銀河)」の周辺に、ほとんど星を含まない中性水素ガスの雲が2つ発見された。研究チームはFASTによる銀河観測プロジェクト「FEASTS」のデータを用いて解析を行い、成果は学術誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載された。 中性水素ガスは、波長21センチの電波(21cm線)を放つことで知られており、可視光ではとらえにくい希薄なガスの分布を探る手がかりになる。研究チームはFEASTSで観測した55個の銀河を対象に、周辺に星をほとんど伴わない水素ガス雲を探索したところ、条件に合致したのは「クラウドN」「クラウドS」と名付けられた2つの雲のみだった。いずれもM51の中心からおよそ70〜90キロパーセク(約23万〜29万光年)離れた位置にあり、それぞれ太陽質量のおよそ300万倍に相当する水素ガスを含んでいるという。 星をほとんど伴わないこの種の巨大ガス雲は、これまでにもごくわずかな例しか報告されておらず、非常に珍しい天体だとされる。M51は近くを回る伴銀河NGC 5195との重力相互作用で知られており、研究チームは今回見つかった水素ガス雲が、過去の銀河同士の接近によって引きはがされた潮汐ガスの残骸である可能性を指摘している。あるいは、星形成がほとんど進まなかった「暗黒銀河」的な天体の候補である可能性も検討されている。 研究チームは今後、他の銀河系近傍でも同様の手法を用いてこうした星のないガス雲を探索し、その起源や分布をより広く明らかにしていく方針だ。今回の発見は、電波観測でしか見えない銀河周辺の「見えない」物質分布を探る上で、FASTのような大型電波望遠鏡が果たす役割の大きさを改めて示す例といえる。 出典: phys.org「FAST finds two mysterious hydrogen clouds with no visible stars」(2026年9月)

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ベテルギウス、内部大気が非対称に変形 ALMA観測で判明、隠れた伴星が原因か

オリオン座の一等星ベテルギウスをめぐり、その内部大気が徐々に不均一で非対称な構造へと変化している様子が、アルマ望遠鏡(ALMA)の観測によって明らかになった。英マンチェスター大学のビル・デント氏らの研究チームによるもので、2020年の大減光以降、この赤色超巨星の内部大気を詳細に捉えたのは今回が初めてだという。 2020年、ベテルギウスは通常の明るさの半分ほどまで急激に暗くなる「グレート・ディミング(大減光)」と呼ばれる現象を起こし、世界中の天文学者の注目を集めた。当時の観測では、星の表面にできた局所的な低温領域や、そこから噴き出した塵の雲が減光の原因である可能性が指摘されていた。 今回、研究チームはALMAの長基線構成を用いて、電波からサブミリ波にかけての連続波と、一酸化ケイ素(SiO)や一酸化炭素(CO)由来のスペクトル線を高い空間分解能で観測した。その結果、星を取り巻くミリ波・サブミリ波帯の「光球」に相当する層に、北東側と南西側で持続的に温度の高い領域が存在することが分かった。この非対称な構造は一時的なものではなく、比較的長期間にわたって同じような分布を保っているとみられている。研究チームは、ベテルギウスの内部、あるいはごく近傍に隠れている小さな伴星の重力や物質のやり取りが、この偏った構造を作り出している可能性を指摘している。 もしこの「隠れた伴星」の存在が確認されれば、ベテルギウスがなぜ不規則に明るさを変化させ、時に大きく減光するのかを理解する重要な手がかりになる。研究チームは今後もALMAや他の望遠鏡を用いた追跡観測を続け、この伴星候補の正体や、星の内部構造との関係を詳しく調べていく方針だ。ベテルギウスは超新星爆発を起こす候補星としても知られており、その内部で起きている変化の解明は、大質量星の終末期を理解する上でも注目されている。 出典: phys.org「Betelgeuse’s atmosphere is becoming spotty and asymmetric—and a nearby companion could be shaping the pattern」(2026年9月)

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