NASA、リラティビティ・スペースの新型ロケット「テランR」を打ち上げ契約に追加 火星探査にも起用へ

NASAは、米新興ロケット企業リラティビティ・スペース(Relativity Space)が開発する大型再使用型ロケット「テランR(Terran R)」を、同社の打ち上げサービス契約「NLS II(NASA Launch Services II)」に新たに追加したと発表した。契約に定められた「オンランプ(on-ramp)」制度に基づく措置で、テランRは今後、NASAの各種ミッションの打ち上げ手段として選択できるようになる。 NLS IIは、複数の企業を対象とした発注上限のない一括契約(IDIQ契約)で、発注期間は2030年6月まで、契約全体の履行期間は2032年12月までとされている。既存の契約企業が新型ロケットを追加登録したり、新たな企業が参入したりする機会を毎年設けるオンランプ制度により、今回テランRの追加が認められた形だ。この契約は、NASAの有人宇宙飛行本部や科学ミッション本部、研究技術本部が進める各種ミッションを支える枠組みとなっている。契約の管理はフロリダ州のケネディ宇宙センターにあるNASA打ち上げサービス計画室が担う。 リラティビティ・スペースをめぐっては今年6月、NASAとの間で同社が新形式の6年間にわたる宇宙法合意(Space Act Agreement)を締結したことも明らかになっている。この合意のもとで同社は、2028年に打ち上げが計画されている火星探査ミッション向けに、観測装置群「エオルス(Aeolus)」を搭載する探査機本体の製造とテランRロケットによる打ち上げを担う予定だ。テランRは3Dプリンティング技術を活用した製造プロセスを特徴とする大型ロケットで、同社はこれまでも商業衛星通信企業インテルサットなどと複数回の打ち上げ契約を結んできた。 今回のNASA契約への追加は、テランRが本格的な商業運用に向けて実績を積み上げていく上での重要な一歩となる。米国の打ち上げ市場では近年、スペースXなど既存企業に加えて新興企業の参入が相次いでおり、NASAとしても打ち上げ手段の選択肢を広げることで、将来の科学ミッションや探査計画の柔軟性を高める狙いがあるとみられる。 出典: NASA「NASA Adds Relativity Space’s Terran R to Launch Services Contract」(2026年9月)

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「ハイパーソフトX線源」、チャンドラが新種の天体を84個発見 超新星と宇宙再電離の謎に迫る

米アラバマ大学のムスタファ・ムヒブッラー氏らの国際研究チームが、NASAのチャンドラX線観測衛星のアーカイブデータを解析し、これまで知られていなかった新種の天体「ハイパーソフトX線源(hypersoft X-ray sources)」を84個発見したと発表した。成果は学術誌「Nature Astronomy」に掲載された。 研究チームは、アンドロメダ銀河(M31)やさんかく座の渦巻銀河M101(通称「回転花火銀河」)など、天の川銀河に比較的近い6つの銀河を対象にチャンドラの観測データを精査した。その結果、非常にエネルギーの低いX線を放つ一方で、強い紫外線も同時に放射しているという、これまでの分類には当てはまらない特異な天体群が浮かび上がった。研究チームはこれらを「ハイパーソフトX線源」と名付けた。25年分のアーカイブデータに埋もれていたこれらの天体は、従来の解析パイプラインが低エネルギー側を十分に探索していなかったために見過ごされていたとみられる。 この発見は、天文学が長年抱えてきた2つの謎を解く手がかりになる可能性があるという。一つは、ダークエネルギーの証拠を支える重要な現象である「Ia型超新星」の前駆天体が、理論上の予測数に対して観測数が大幅に不足している問題だ。もう一つは、遠方銀河で観測されるヘリウムの電離(イオン化)を説明できる光源が、既知の天体だけでは足りないという問題である。ハイパーソフトX線源は、ヘリウムを電離させるのに必要な54電子ボルトを超えるエネルギー帯でまさに強く光ることが分かっており、この謎の電離源の有力候補になり得るとみられている。 研究チームは、これらの天体の正体について、白色矮星が伴星からガスを奪いながらヘリウムを燃焼させている連星系である可能性を含め、複数の仮説を検討している。今後はチャンドラに加え、他の観測装置による追加観測を通じて、ハイパーソフトX線源の正体や形成過程をさらに詳しく解明していく方針だという。 出典: phys.org「Chandra uncovers ‘hypersoft X-ray sources’ that may solve two astrophysical puzzles」(2026年9月)

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スペースX、米宇宙軍の機密衛星「USSF-153」打ち上げに成功 ブースターは27回目の飛行

米スペースXは2026年9月10日(現地時間)、米宇宙軍(USSF)向けの機密衛星を搭載したファルコン9ロケットを、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地の第4発射施設(SLC-4E)から打ち上げた。ロケットは協定世界時15時42分ごろに離昇し、衛星は無事に軌道へ投入されたと伝えられている。 今回使用された1段目ブースター「B1081」は、過去に有人ミッション「クルー7」や国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッション「CRS-29」、偵察衛星局(NRO)向けミッションなど数多くの飛行を経験してきた機体で、今回が27回目の飛行となった。打ち上げ後、ブースターは太平洋上で待機していたドローン船「Of Course I Still Love You」に無事着陸し、回収に成功している。 米宇宙軍向けのミッションであるため、搭載された衛星の詳細や機数は公表されておらず、ペイロードは機密扱いとなっている。一部報道では、スペースXの「スターシールド」衛星バスをベースにした低軌道衛星群である可能性が指摘されているが、公式には明らかにされていない。 今回のUSSF-153は、2026年に入って104機目となるファルコン9の打ち上げで、スペースXの高い打ち上げ頻度を改めて示す形となった。米宇宙軍にとっても、軌道上の監視・通信能力を継続的に強化していく取り組みの一環と位置づけられており、今後も同様の安全保障関連ミッションが相次ぐ見通しだ。 出典: Space.com「SpaceX launches classified Space Force mission USSF-153」(2026年9月10日)

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3I/ATLAS、極寒の環境で誕生か 英チームがWEAVE分光観測で新たな起源の手がかり

英ノーサンブリア大学のレア・フェレレク博士らの研究チームが、太陽系を通過中の恒星間天体「3I/ATLAS」について、氷点下240度を下回るような極めて低温の環境で誕生した可能性を示す新たな観測結果を発表した。成果は学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載された。3I/ATLASは2025年7月に発見された、「オウムアムア」「ボリソフ彗星」に続き3例目となる恒星間天体だ。 研究チームは、スペイン・ラパルマ島のウィリアム・ハーシェル望遠鏡に搭載された新型多天体分光器「WEAVE」を用いて3I/ATLASを観測した。分光データからは、窒素分子イオン(N2+)、一酸化炭素イオン(CO+)、二酸化炭素イオン、水イオン、炭化水素イオンという計5種類のイオン種が検出されたという。 とりわけ注目されたのが、窒素分子と一酸化炭素の存在比だ。この比率が通常の太陽系彗星に比べて著しく高いことが判明し、研究チームはこれを、3I/ATLASが氷点下240度(絶対温度でおよそ30ケルビン)を下回るような極低温の環境で形成された証拠と解釈している。恒星から遠く離れた、太陽系でいえばカイパーベルトやオールトの雲に相当するような外縁部の低温領域で誕生したとみられるという。 3I/ATLASをめぐっては、今年7月にも欧州の別の研究チームが、彗星に含まれる重水の比率から起源を探る研究成果を発表しており、そちらも低温環境での形成を示唆する結果だった。今回のWEAVEによる観測は、これとは独立した手法・データから同様の結論を補強するものとなる。研究チームは今後もさらなる分光観測を重ね、この恒星間天体がどのような星系で、どのような過程を経て形成されたのかを詳しく調べていく方針だ。 出典: Universe Today「New Revelations About the Origin of Interstellar Comet 3I/ATLAS」(2026年9月10日)

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銀河の質量に不釣り合いな「巨大すぎるブラックホール」、eROSITAが8例を発見

ドイツのマックスプランク地球外物理学研究所(MPE)のヨハネス・ブフナー氏らの国際研究チームが、X線天文衛星「eROSITA」の観測データを用いた大規模な調査から、周囲の銀河に対して不釣り合いなほど巨大なブラックホールを抱えるクエーサーを新たに8例発見したと発表した。成果は学術誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載された。 研究チームは、ロシア・ドイツ共同のX線観測衛星「スペクトルRG(SRG)」に搭載されたeROSITAが検出した約2万個のクエーサーを対象に、中心にある超巨大ブラックホールの質量と、それを取り巻く母銀河の恒星質量との比率を系統的に調べた。通常、銀河中心の超巨大ブラックホールの質量は母銀河の全恒星質量のおよそ0.5%程度にとどまるとされてきたが、今回発見された8個のクエーサーでは、その比率がおよそ10倍にあたる5%前後に達していたという。 今回の調査対象は赤方偏移z=0.3〜0.8、つまり宇宙がまだ若かった時代ではなく、比較的進化が進んだ銀河が中心となっている点も注目される。これまで「規格外」に巨大なブラックホールは宇宙初期の特殊な形成過程によって生じるものと考えられてきたが、今回の発見は、進化した銀河においても同様の現象が一定の頻度で起こりうることを示しており、その出現頻度は体積0.5立方ギガパーセクあたり少なくとも8個程度と見積もられている。研究チームによれば、現在の宇宙論的シミュレーションでは、これほど極端な質量比を再現できるモデルは存在しないという。 ブラックホールと母銀河の質量には、これまで比較的単純な比例関係(M-シグマ関係)があるとされ、両者が互いに影響を及ぼしながら共に成長してきたと考えられてきた。今回の発見は、そうした従来の描像だけでは説明できない例外的なケースが、宇宙のさまざまな時代・環境に一定数存在することを示しており、研究チームは今後もeROSITAのデータを活用し、こうした「規格外」ブラックホールの起源をさらに検証していく方針だ。 出典: Astronomy & Astrophysics「A large population of overmassive black hole quasars at z=0.3-0.8 revealed by eROSITA」(2026年9月)

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土星の南極に謎の「十角形」出現、ハッブルが確認 北極の六角形と”双子”か

米航空宇宙局(NASA)とハッブル宇宙望遠鏡の観測チームが、土星の南極を取り巻く十角形(デカゴン)状の巨大な大気の波を確認したと発表した。土星の北極には、1980年代にNASAの探査機ボイジャーが発見して以来、45年以上にわたり観測され続けている有名な六角形のジェット気流が存在することで知られるが、南半球でこれほど規則的な多角形の構造が見つかったのは今回が初めてだという。 今回確認された十角形は、直径にしておよそ17万キロメートルに達する巨大な構造で、一辺の長さも1万6000キロメートル前後に及ぶ。ハッブルの過去の観測データをさかのぼって調べたところ、この構造は2023年ごろから徐々に形成され始め、現在も勢力を強めながら成長を続けている可能性が高いことが分かった。単なる雲の模様ではなく大気の複数の層にまたがって広がっていることも判明しており、北極の六角形と似た側面を持ちながらも、いくつかの点で異なる特徴を示しているという。 研究チームによれば、北極の六角形が非常に安定した構造として何十年も観測され続けてきたのに対し、南極の十角形はまだ発達段階にあるとみられ、今後さらに姿を変えていく可能性がある。土星のように厚い大気を持つガス惑星の両極でこうした規則的なジェット気流が形成される仕組みは、大気力学における普遍的な現象なのか、あるいは土星に特有の条件によるものなのか、今のところ明確な結論は出ていない。 研究チームは今後もハッブルなどの観測装置を使って南極の十角形の変化を継続的に追跡し、北極の六角形との比較を通じて、ガス惑星の大気循環メカニズムの理解を深めていく方針だという。 出典: NASA Science「NASA’s Hubble Tracks New Decagon Encircling Saturn’s South Pole」(2026年9月)

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史上最強ガンマ線バースト「BOAT」の超高エネルギー光子、アインシュタイン理論に反する謎に新説

2022年10月に観測史上最も明るいガンマ線バースト(GRB)として知られる「BOAT(Brightest Of All Time)」ことGRB 221009Aをめぐり、これまで理論的な説明が困難とされてきた超高エネルギー光子の観測結果に新たな説明を与える研究成果が発表された。研究を行ったのは、イタリア国立天体物理学研究所(INAF)のジョルジョ・ガランティ氏と、イタリア国立核物理学研究所(INFN)のマルコ・ロンカデッリ氏で、成果は学術誌「Physical Review Letters」に掲載が受理されている。 BOATは地球からおよそ20億光年離れた方向で発生した、大質量星の崩壊に伴うとみられる観測史上最大級の爆発現象だ。ロシアの宇宙線観測装置「カーペット(Carpet)」は、この爆発に由来するとみられる約300兆電子ボルト(300TeV)という、ガンマ線バースト由来の光子としては史上最高エネルギーの光子を検出していた。しかし標準的な物理理論によれば、これほど高エネルギーの光子は宇宙背景放射の光子と衝突し、電子・陽電子対に変換されて消滅してしまうはずで、20億光年もの距離を生き延びて地球に到達したこと自体が長年の謎とされてきた。 今回発表された新理論では、光子が極めて高いエネルギー状態にある場合、通常の物理法則が予測する破壊的な変換過程を回避する「近道」のような経路をたどる可能性があるという。研究チームのモデル計算によれば、この超高エネルギー光子は、BOATから放たれた低エネルギーの光よりもおよそ1時間ほど遅れて地球に到達した計算になるとしている。 今回の成果は、宇宙で最もエネルギーの高い現象の一つであるガンマ線バーストが、光子と物質・エネルギーの基本的な相互作用をめぐる物理理論そのものを検証する「天然の実験場」となり得ることを改めて示すものだ。研究チームは今後、他の高エネルギー観測データも用いてこの新理論の妥当性を検証していく方針だという。 出典: phys.org「A photon that challenges Einstein: According to current physics, it should never have reached ...

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アルテミスII船長・操縦士のワイズマン氏とグローバー氏、NASA名誉宇宙飛行士に

NASAは2026年9月9日、有人月周回ミッション「アルテミスII」で船長を務めたリード・ワイズマン氏と、操縦士を務めたビクター・グローバー氏の2人が、現役宇宙飛行士としての任務を終え、「名誉宇宙飛行士(エメリタス)」制度に移行すると発表した。 アルテミスIIは2026年4月に実施され、アポロ計画以来となる有人での月周回飛行を成功させたミッションだ。ワイズマン氏は船長として、グローバー氏は操縦士としてそれぞれ搭乗し、これまでの豊富な飛行経験をミッションに生かした。ワイズマン氏は国際宇宙ステーション(ISS)に165日間にわたり滞在した経験を持ち、グローバー氏はスペースXのクルードラゴンによる初の定期有人ミッション「クルー1」に搭乗した経歴を持つベテランだ。 名誉宇宙飛行士制度は、高度な技術・専門知識を持つ元宇宙飛行士が、現役スタッフの訓練や指導といった形でNASAの活動を支え続けられるようにする仕組みだ。グローバー氏は今後、宇宙航空分野やリーダーシップ、公共サービスに関する取り組みでNASAを支援するとともに、母校であるカリフォルニア・ポリテクニック州立大学(カル・ポリー)で指導的な役職に就くことも明らかにされている。 今回の発表は、アルテミス計画が次の段階へ進む節目とも重なる。NASAは今後、月面着陸を目指す「アルテミスIII」に向けた準備を本格化させる方針で、名誉宇宙飛行士となった2人の豊富な経験を、新世代の宇宙飛行士育成や今後のミッション計画に生かしていくとしている。 出典: NASA「NASA Names Two Artemis II Astronauts to Emeritus Program」(2026年9月9日)

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若い恒星PDS 70の周りに彗星の存在示す証拠、惑星系内側へ水を運ぶ仕組みか

スウェーデン・ルンド大学の研究チームが、地球から約370光年離れた若い恒星「PDS 70」の周辺で、太陽系外彗星(エクソコメット)が存在する証拠を発見したと発表した。研究成果は学術誌「Nature Communications」に掲載され、筆頭著者は同大学物理学科の博士研究員アリーヌ・ノヴァイス氏が務めた。 PDS 70は誕生からおよそ550万年というまだ若い「Tタウリ型星」で、周囲には惑星が形成されつつある円盤が広がっていることで知られる。これまでジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測で、この系の内側の円盤に水が存在することが確認されていたが、その水がどこから供給されているのかは明らかになっていなかった。 研究チームは今回、PDS 70系における彗星の軌道をコンピューターでモデル化した。その結果、系内にすでに存在が確認されているガス惑星が、遠方にある氷天体の軌道を重力で乱し、恒星に近い内側へと弾き飛ばしている可能性が示された。恒星に近づいた氷天体は昇華し、その際に放出された水蒸気が系の内側に水をもたらしているとみられるという。 この仕組みは、太陽系形成初期に彗星が地球へ水を運んだと考えられている過程と類似している。研究チームは、PDS 70のような若い惑星系を観測することで、地球のような水を持つ惑星がどのように形成されるのか、その普遍的な仕組みを理解する手がかりが得られるとしている。 出典: phys.org「Young sunlike system reveals comets may carry water toward forming planets」(2026年9月3日)

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JWST、初期宇宙の「クエーサーもどき」の正体は爆発的星形成銀河と判明

オランダ・ライデン大学のサラ・ボスマン氏らの国際研究チームが、これまで「暗いクエーサー」として分類されていた初期宇宙の天体2つについて、実際には猛烈な勢いで星を生み出す銀河だった可能性が高いとする研究成果を発表した。今回の成果はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による追加観測に基づくもので、宇宙が誕生からまだ9億年に満たなかった時代の天体を対象としている。 研究対象となったのは、赤方偏移z=6.63の「J1450-0144」とz=6.80の「J1429-0104」という2天体で、いずれも大規模探査プロジェクト「SHELLQs」によって暗いクエーサー候補として発見されていた。紫外線で明るく輝く星形成銀河と光度の低いクエーサーは、いずれも青みがかった紫外線連続光と強い水素ライマンアルファ輝線を示すため、従来の低感度な分光観測だけでは区別が難しいという課題があった。 研究チームがJWST搭載の近赤外線分光器(NIRSpec)とアルマ望遠鏡のミリ波観測データを組み合わせて詳細に調べたところ、両天体から大質量星特有の「Pシグニ・プロファイル」と呼ばれる恒星風の痕跡や、非常に強く幅広いヘリウム(He II)の輝線が検出された。太陽質量の100倍を上限とする通常の星集団モデルではこの強いヘリウム輝線を再現できず、太陽の200倍を超えるような極めて質量の大きい星が存在する可能性が示唆されたという。 今回の結果は、初期宇宙で観測される「暗いクエーサー」の一部が、実際には超大質量星を含む極端な星形成銀河である可能性を示すものであり、クエーサーと銀河を区別する従来の観測手法に見直しを迫るものだ。研究チームは今後もJWSTなどによる詳細な追跡観測を進め、初期宇宙における超大質量星形成の実態解明を目指す方針だという。 出典: phys.org「JWST finds extreme star-forming galaxies masquerading as faint quasars」(2026年9月)

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