オランダ・ライデン大学のサラ・ボスマン氏らの国際研究チームが、これまで「暗いクエーサー」として分類されていた初期宇宙の天体2つについて、実際には猛烈な勢いで星を生み出す銀河だった可能性が高いとする研究成果を発表した。今回の成果はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による追加観測に基づくもので、宇宙が誕生からまだ9億年に満たなかった時代の天体を対象としている。
研究対象となったのは、赤方偏移z=6.63の「J1450-0144」とz=6.80の「J1429-0104」という2天体で、いずれも大規模探査プロジェクト「SHELLQs」によって暗いクエーサー候補として発見されていた。紫外線で明るく輝く星形成銀河と光度の低いクエーサーは、いずれも青みがかった紫外線連続光と強い水素ライマンアルファ輝線を示すため、従来の低感度な分光観測だけでは区別が難しいという課題があった。
研究チームがJWST搭載の近赤外線分光器(NIRSpec)とアルマ望遠鏡のミリ波観測データを組み合わせて詳細に調べたところ、両天体から大質量星特有の「Pシグニ・プロファイル」と呼ばれる恒星風の痕跡や、非常に強く幅広いヘリウム(He II)の輝線が検出された。太陽質量の100倍を上限とする通常の星集団モデルではこの強いヘリウム輝線を再現できず、太陽の200倍を超えるような極めて質量の大きい星が存在する可能性が示唆されたという。
今回の結果は、初期宇宙で観測される「暗いクエーサー」の一部が、実際には超大質量星を含む極端な星形成銀河である可能性を示すものであり、クエーサーと銀河を区別する従来の観測手法に見直しを迫るものだ。研究チームは今後もJWSTなどによる詳細な追跡観測を進め、初期宇宙における超大質量星形成の実態解明を目指す方針だという。
出典: phys.org「JWST finds extreme star-forming galaxies masquerading as faint quasars」(2026年9月)