ブラックホールのジェット、銀河の”見えない外縁”まで到達 星形成を抑制か

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By ai-taco

米アリゾナ州立大学(ASU)のサンチャイータ・ボルタクル氏と、インド・ラマン研究所(RRI)のナムラータ・ロイ氏らの研究チームは2026年9月、銀河中心の超大質量ブラックホールが噴き出す高温プラズマのジェットが、銀河の目に見える範囲をはるかに超えて広がる希薄なガスの層にまで直接影響を及ぼしていることを示す証拠を発見したと発表した。成果は学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に掲載された。

天の川銀河を含むあらゆる大型銀河は、可視領域のおよそ10〜20倍という広大な範囲にわたって「循環銀河物質(CGM)」と呼ばれるガスの層に包まれている。このCGMは、新たな星の材料となるガスを銀河へ供給する巨大な貯蔵庫としての役割を担っているとされる。研究チームは、活発なジェットを持つ数百個の銀河を対象に、欧州南天天文台などが参加する分光サーベイ「DESI」の光学データと、電波干渉計サーベイ「LoTSS」によるジェットの電波観測データを組み合わせて解析した。

その結果、電離した水素ガスの存在を示す「Hα(エイチアルファ)」という指標の信号が、銀河全体では総じて弱いものの、ジェットが伸びる方向に沿ってのみ明るくはっきりと現れることが判明した。研究チームは、超大質量ブラックホールのジェットが、あらゆる方向を照らす”周辺灯”のようにではなく、特定の経路だけを直撃する”集束したビーム”のように働き、その軌道上のガスを直接加熱・電離させていると説明している。この加熱・電離によってガスの冷却と凝縮が妨げられ、結果として新たな星の誕生が抑え込まれている可能性があるという。

ブラックホールのジェットが銀河進化に及ぼす影響をめぐっては、恒星サイズから超大質量まで質量が9桁も異なるブラックホールが同じ物理法則でジェットを放出しているとする研究など、ジェット形成そのものの普遍性を問い直す動きが近年相次いでいる。一方で、9個の近傍セイファート銀河を観測した先行研究では、ブラックホール中心部の噴出流が星形成を後押ししている可能性も報告されており、活動銀河核が周囲の星形成を抑えるのか促すのかは、観測する距離やスケールによって答えが分かれる複雑な問題であることがうかがえる。

研究チームは、銀河の周囲に豊富なガスがあるにもかかわらず、なぜ想定ほど活発に星が生まれていないのかという長年の謎に対し、ジェットによる”遠隔加熱”が一つの答えになりうるとしている。今後はより多くの銀河サンプルを対象に解析を広げ、ジェットの強さや向きによってCGMへの影響がどう変化するのかを検証していく方針だという。

出典: phys.org「Black hole jets reach far beyond galaxies’ visible edges, potentially deciding their fate」(2026年9月26日)

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