米セントラルフロリダ大学(UCF)の惑星科学者チャールズ・シャンボー准教授らの研究チームが、太陽系外縁部を回る氷天体「ケンタウルス族」の一つ、450P/LONEOSが彗星へと変貌しつつある様子を観測したと発表した。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とハワイのジェミニ北望遠鏡による観測データから、ガスと塵を放出する彗星特有の活動が検出されたという。
ケンタウルス族は木星と海王星の軌道の間を回る氷天体で、太陽系外縁天体(TNO)と木星族彗星をつなぐ「進化の橋渡し役」と考えられている。研究チームによれば、450P/LONEOSは1992年に土星へ接近した際の重力の影響で軌道が変化し、近日点が木星軌道に近づいたことがきっかけで「目覚めた」可能性があるという。2019年から2024年にかけての継続観測では、太陽に近づくにつれてコマ(彗星特有のガス・塵の雲)が徐々にはっきりと形成されていく様子が捉えられた。
特に注目されるのは、JWSTが同天体の周囲に二酸化炭素ガスを検出した一方、水蒸気や一酸化炭素はほとんど検出されなかった点だ。通常、彗星の活動は太陽に近づいて水の氷が昇華することで始まると考えられているが、450P/LONEOSはまだ水が昇華しにくい低温領域にありながら活動を始めている。研究チームは、天体内部に閉じ込められていたアモルファス(非晶質)状態の水の氷が結晶構造へと変化する過程で、内部に蓄えられていた二酸化炭素が放出された可能性を指摘している。
ケンタウルス族天体が実際に彗星化していく過程がここまで詳細に捉えられた例は少なく、今回の観測は太陽系外縁の氷天体がどのように進化し、彗星として活動を始めるのかを理解する上で貴重な手がかりになるとみられる。研究チームは今後も450P/LONEOSの観測を継続し、活動がどのように推移するかを追跡する方針だ。
出典: UCF News「UCF Researchers Study a Centaur Transforming into a Comet」(2026年9月)